すさまじきもの 〜歌枕探訪〜


法善寺横丁(大阪市中央区)







織田作之助の代表作「夫婦善哉」の最終場面

「こ、こ、ここの善哉はなんで、ニ、ニ、ニ杯ずつ持って来よるか知ってるか、知らんやろ。こら昔何とか太夫ちう浄瑠璃のお師匠はんがひらいた店でな、一杯山盛りにするより、ちょっとずつ二杯にする方が沢山はいってるように見えるやろ、そこをうまいこと考えよったのや」
蝶子は「一人より女夫(めおと)のほうがええということでっしゃろ」ぽんと襟を突き上げると肩が大きく揺れた。
蝶子はめっきり肥えて、そこの座蒲団が尻にかくれるくらいであった。




大正昭和の大阪を舞台とした、ダメ男と、ダメ男を夫に持つ肝っ玉かあちゃんの話。
化粧問屋の息子の柳吉は芸者の蝶子と駆け落ちし、その結果、親から勘当されてしまう。
柳吉はうまいものに目がなく、蝶子を連れて「うまいもん屋」巡りをするというグルメ雑誌のような内容。
最後、法善寺横丁の夫婦善哉を食べるくだりで終わる。





法善寺横丁の入口。
大阪ミナミ、道頓堀からほど近いのだが、
道頓堀の喧騒とはまた違った、落ち着いた、
情緒あふれる飲み屋街となっている。



法善寺の水掛不動



今でもぜんざい屋がある。



小説の通り一つの注文に対し二つの
お椀のぜんざいが出てくる。




行き暮れて ここが思案の 善哉かな 織田作之助




横丁の中に句碑があるらしいので、今度写真を撮ってきます。

 

  





「夫婦善哉」は今まで何度か読みましたが、
読むたびにだんだん趣きが深くなってきました。





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