すさまじきもの 〜歌枕探訪〜


二村山(愛知県豊明市)


知る人にとっては何ともメジャーな「ゆかりの地」。
中世の東海道(旧鎌倉街道)は二村山の麓を通っていたようで、三河国の名勝の地として多くの歌が残されている。
といって、この地がどれほどのメジャー具合かよく分からないと思うので、WIKIPEDIAにまとめられている和歌の一覧表を下に掲載する。

くれはとりあやに恋しく有りしかば二むら山もこえずなりにき 清原諸実 『後撰和歌集』
(返し)唐衣裁つ惜しみし心こそ二むら山の関となりけめ 詠み人知らず
玉くしげ二むら山の月影は万世をこそ照らすべらなれ 平兼盛 『兼盛集』
秋風にはたおる虫の声しげみ尋ねぞ来つる二むらの山 源重之 『重之集』
唐国のにじなりとても比べ見ん二むら山の錦にはにじ 増基 『増基法師集』
今こそは二むら山のほととぎす声おりはえてあやに啼くなり 源俊頼 『散木奇歌集』
ほととぎす二むら山を尋ね見んいりあやの声はけふ止まざると 源俊頼
くれはとり二むら山にきてみれば目もあやにこそ月はすみけれ 俊恵
いくえとも見えぬ紅葉の錦かな誰ふたむらの山といいけん 橘能元 『詞花和歌集』
五月闇二むら山のほととぎす峯つづき啼く声をきくかな 藤原俊忠 『千載和歌集』
出でながら雲に隠るる月影をかさねてまつや二むらの山 西行 『山家集』
ほととぎす二むら山を尋ぬれば峯を隔てて鳴きかわすなり 藤原俊成 『長秋詠藻』
心やは二むら山を越え来ても君をそたのむ都おもえば 飛鳥井雅経 『明日香井集』
いろいろに誰がおりかくる折なれや紅葉のにしき二むらの山 飛鳥井雅経
ともしして今宵も明けぬ玉くしげ二むら山の峯の横雲 順徳院 『続古今和歌集』
よそに見し小笹のうえの白露をたもとにかくる二むらの山 源頼朝
近づけば野路のささはら顕われてまた末かすむ二むらの山 平泰時
雪となり雨と成りて峯わけにかかれる雲の二むらの山 九条基家 『歌枕名寄』
二むらの山のはしらん東雲に明けんと告ぐるは乙鳥の声 小侍従
明けくれて幾か来ぬらん玉くしげ都にとおき二むらの山 二条為氏
分け行けば二むら山のこぐれよりははそまじりの霰ちるなり 中原師光
忘れずよあやめも見えず行き暮れし二むら山の末の野原に 安嘉門院四條 『夫木和歌抄』
程ちかく衣の里はなりぬらん二むら山を越えて来つれば 藤原経衡
唐にしき二むら山のもみぢゆえあかでもけふを立ちくらすかな 藤原為忠
唐にしきおらまくおしき木のもとは二むら山のもみぢなりけり 橘為仲
しぐれするもみぢのにしきゆかしきは明けてをたたん二むらの山 寂然
東路の山にや春の残るらん二むら見ゆる遅桜かな 九条基家
霞たつ二むら山の岩つつじ誰がおりそめし唐錦そも 藤原俊忠
誰が世より植えて此の名をとどめけん園生の竹の二むらの里 冷泉太政大臣
二むらの山の麓の秋萩に錦をしける野辺かとぞ見る 大江匡房
しずかなる二むら山の麓にぞ千年の秋の花も咲きける 藤原正家
ほととぎす二むら山や越えつらん明けはててのみ声のきこゆる 堀河院中宮上総 『続後拾遺和歌集』
越えゆけばひとかたならずかすむなり二むら山の春のあけぼの 藤原行朝 『新千載和歌集』


う〜ん、
これを見ると、遅桜や岩ツツジもある中で、圧倒的に秋の紅葉を詠んだものが多いのだが、今回訪問したのは梅雨時の7月中旬。





この日、大阪から愛知県へ移動し、朝から愛知県内の「ゆかりの地」めぐりをして、夕方ここに着いた時は心身ともに衰弱していた。
本当は、二村山の峠に登り、源頼朝の歌碑見学を予定していたが、疲労につき断念。駐車場周辺の写真撮影でお茶を濁すこととした。



平日の夕方なので誰もいなかった。



山頂の展望台は名古屋の夜景スポットになっているらしい。



いろいろな歌碑が満載の場所であった。



園路の入口。



夕方で、本当に蚊が多かった。



実際にこの先がどうなっているのか分からない。



興味深いところであったが、今回はパス。

       

 







いつか再訪したいです。






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