すさまじきもの 〜歌枕探訪〜


出見の浜(大阪市住吉区)




なんというか、
住吉関係の歌枕/ゆかりの地は数多あるけれど、そのうち「奈古の海」「得名津」「出見の浜」の三か所については、現在では場所を特定できないものと思っていた。
このため、それら三地点のゆかりの歌は手元のエクセルに収録しているものの、訪問困難な地として整理されていた。


ところが、「万葉を歩く 大阪の恋歌」(大川貴代著)を図書館で借りて読んでると、
『出見の浜」は粉浜西、浜口西の辺り。・・・
との記載があり、住吉公園には「出見の浜の景観を伝える碑」があるとの説明があった。
(第二章 大阪)





梅雨明けの炎暑凌ぎ難い日の午後に訪ねてみた。



住吉大社。
ここから海の方向(西)に歩いていく。



昔は海に続いていた道。「汐掛道」というらしい。



ここに「汐掛道顕彰碑」があった。



そして石碑に記された説明文
汐掛道の記
ここは昔、住吉大社の神事の馬場として使われた場所で、社前から松原が続き、すぐに
出見の浜に出る名勝の地であった。・・・・・・・・・
と出見の浜の地名が出ていた。



レリーフには絵が描かれているようだが、よくわからない。



ところが下の方を見ると何と「出見の浜」の文字があった。

その上の橋の左の構築物は、住吉名物の高灯篭か



国道26号線まで出た。
交差点を越えたところに高灯篭が見える。
この辺りが「出見の浜ということになる。


出見の浜連続写真






いや〜、幻の出見の浜を堪能した〜


ところが高灯篭が気になったので、家に帰り摂津名所図会を開いてみると「出見湊 高燈籠」と記されていた。
なんのことはない、「出見の浜」「出見湊」は昔から高灯篭とともに、この地の地名であったようだ。(現在の粉浜西、浜口西)



そんな「出見の浜」の地名は万葉集に詠み込まれている。


住吉出見の浜の柴な刈りそね未通女らが赤裳の裾の濡れてゆく見む 万葉集
住吉の出見の浜の柴は刈らないでくれよ。
娘たちが赤裳の裾を露に濡らして通るのを見にいこう。
(「万葉を歩く 大阪の恋歌」大川貴代)
 




広重の六十余州名所図会にも
「住よし 出見のはま」で収録されていた。











結構、昔から有名やったんやな

次は「得名津」と「奈古の海」を見つけたい。








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