すさまじきもの 〜歌枕探訪〜


イギリス海岸(岩手県花巻市))





宮沢賢治ネタ



旅行サイト「じゃらんネット」の案内文
 イギリス海岸は、瀬川と北上川が合流する地点の西岸にあります。白い泥岩層が川に沿って露出しているこのエリアを、宮沢賢治はドーバー海峡の白亜の壁を連想して「イギリスあたりの白亜の海岸を歩いているような気がする」といって「イギリス海岸」と名付けました。平成18年7月28日付で、国指定名勝「イーハトーブ風景地」の一つに指定されています。
ここ十数年は、河川管理が進んだために、川の水位が下がった時にしか泥岩層が見られなくなりました。




宮沢賢治は実在する地名を外国語のように変えてしばしば作中に登場させている。たとえば、
 モリーオ ・・・ 盛岡
 ハームキヤ ・・・ 花巻
 センダード ・・・ 仙台
 シオーモ ・・・ 塩釜
 トキーオ ・・・ 東京
 イーハトーヴォ ・・・ 岩手
これらの地名とは全く造語の意図が異なるのがイギリス海岸。
ドーバー海峡の海岸に似ているというわけで名付けたもの。





「イギリス海岸」(宮沢賢治)より
(前略) 
日が強く照るときは岩は乾いてまっ白に見え、たて横に走ったひゞ割れもあり、大きな帽子を冠ってその上をうつむいて歩くなら、影法師は黒く落ちましたし、全くもうイギリスあたりの白亜の海岸を歩いてゐるやうな気がするのでした。
 町の小学校でも石の巻の近くの海岸に十五日も生徒を連れて行きましたし、隣りの女学校でも臨海学校をはじめてゐました。
 けれども私たちの学校ではそれはできなかったのです。ですから、生れるから北上の河谷の上流の方にばかり居た私たちにとっては、
どうしてもその白い泥岩層をイギリス海岸と呼びたかったのです。
(後略)









とりあえず現地訪問


史跡としてちゃんと整備されていた。




これが現在のイギリス海岸。
上流にダムができたため、川の水位が安定してしまい、なかなか泥岩質の川床が姿を現さなくなったようだ。




手前の水面に少しだけ泥岩の露出が確認できる。




こんなかんじ。






こんなイギリス海岸を題材として宮沢賢治は作詞作曲している。
どんなメロディーなのかよく分からないが、詞の部分は次の通り


Tertiary the younger Tertiary the younger
Tertiary the younger Mud-stone
あをじろ日破れ あをじろ日破れ
あをじろ日破れに おれのかげ

Tertiary the younger Tertiary the younger
Tertiary the younger Mud-stone
なみはあをざめ 支流はそそぎ
たしかにここは修羅のなぎさ
宮沢賢治


う〜ん、特に感想はないのだが、少しコメントすると、
「Tertiary the younger」とは新第三期という地質用語。
「Mud-stone」は泥岩のこと。
宮沢賢治にかかると地質用語も詩文となってしまうようだ。
「支流はそそぎ」という場面はここ

手前から瀬川が流れて行って北上川に注いでいる。
ここは宮沢賢治にとって「修羅のなぎさ」であったようだ。
















川床の露出がなくても、普通にきれいなところでした








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