すさまじきもの 〜歌枕★探訪〜 |
七坂八峠展望台より、居組漁港、居組県民ビーチを眺望
主従は旅にしあれば里の名の居含にしたる仮の宿かな | 細川幽斎(九州道の記) |
え〜と、居組は、上の写真のように素晴らしいフォトジェニックな漁港なのだが、細川幽斎が詠んだ歌は、「旅先のことなので里の名の居組のように、主人も従者も互いに混じって抱き合って寝る仮の宿だよ」(中世日記紀行集/岩波書店)という内容で、ダジャレ系に仕上がっていて、風情もない。 ※「い組み」・・・い:接頭語、抱き合うを掛ける 細川幽斎は戦国大名でありながら、古今和歌集の二条派歌道伝承者という当時一流の歌人であったが、このようなダジャレを詠み込むのが正統派の流儀だったのだろう。 まあ、細川幽斎は秀吉の九州攻めに従軍するために舞鶴から船で博多へ向かう途上、居組の湊で主従が実際に隣り合わせで寝たという実体験に基づいたものであり、それはそれで情趣がある。 地元出身で、アララギ派の歌人、岡垣徹治が居組を詠んだ歌 |
居組なる不動乃山のせみしぐれ 結ぶが浦に船つき丹け里 | 岡垣徹治 |
不動乃山とは、上の写真の居組湾に浮かぶ小さな島のことだと思う。 |