すさまじきもの 〜歌枕探訪〜


猪養の岡(奈良県桜井市)






「吉隠の歴史 名所めぐり」(桜井市観光協会)

万葉故地の「猪養(いかひ)の岡」について、場所不明とする専門書が多い中、桜井市の観光協会は場所を特定した地図を作成していた。

上の吉隠(よなばり)の観光地図の青色で囲った場所が「猪養の岡」、赤で囲ったのが「吉隠公民館」で万葉歌碑が設置されている。

大雑把に言うと、吉隠公民館の裏の山が「猪養の岡」とのこと。

「猪養の岡」を詠んだ万葉歌は二首


吉隠猪養の山に 伏す鹿の 妻呼ぶ声を 聞くが羨しさ 大伴坂上郎女(万葉集)


降る雪は あはにな降りそ 吉隠猪養の岡の 寒くあらまくに 穂積皇子(万葉集)


吉隠公民館に歌碑







吉隠という地名は古く、日本書紀に見えるらしい。
初瀬のさらに奥まった場所という意味。
大和と伊勢を結ぶ伊勢街道沿いにあり、現在では近鉄大阪線が通る。







何とも言えない写真であるが、吉隠の里を撮ったもの
右手から初瀬からの谷筋が続く




手前に国道165号線、向こうに近鉄特急が走る。
今も昔も交通の要衝である。




これが吉隠公民館
「猪養の岡」を紹介するホームページで必ず登場するこの建物であるが、それはここに万葉歌碑が設置されているため。




吉隠公民館の裏の山が「猪養の岡」ということだが、上掲の地図を見ると、この山ではなく、もっと奥の方の山なのだろう。















吉隠のマスコットキャラクターもある。
猪養の岡の楓に因んだものらしい。













Googleのこの地図は明らかに間違っている。
この地図のマークは「吉隠公民館」であって、ここに
「猪養の岡」の万葉歌碑が設置されているだけ。
「猪養の岡」ではない。







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