すさまじきもの 〜歌枕探訪〜


生野ノ里(京都府福知山市)





大江山いく野の道の遠ければ まだ文も見ず天橋立 小式部内侍(百人一首)


有名な百人一首の歌であるが、
恥ずかしいことに、つい最近まで「いく野」は兵庫県朝来市の生野銀山の辺りのことだと、学生の頃からずっと思っていた。

そして「大江山」は酒呑童子の出る福知山市の大江山だと思っていた。本当は山城国と丹波国の国境にある大枝山がこの歌で詠まれている「大江山」のことであるが、酒呑童子の大江山は天橋立のすぐ近くにあることから間違う人も多いようだ。

私は、京都から天橋立に向かうのに、但馬国の生野銀山を経由するなんて、歌の語呂合わせのためとは言えちょっと遠すぎるし、やり過ぎだと思っていた。『いく野の道の遠ければ』というか、遠すぎるやろと。


実際に歌に詠まれている「いく野」は福知山市にあり、歌の中の地名の順番通り、「大江山」を過ぎて、「いく野」を通って、天橋立に着く。現在も国道9号線が走っており、史跡が国道沿いにあった。



生野の里の史跡はグーグルマップに「歌枕の地「生野の里」石碑(小式部内侍 歌碑)」という地名で登録されている。
ここに石碑がある。「歌枕の地 生野」の碑文。



現地に百人一首カルタのレプリカ?があった



JRバスの駅名も「生野里」



これがバス停「生野里」の待合所
待合所が邪魔になってよく見えないが、この後ろにある家々が生野集落。昔は宿場町だったらしい。





百人一首以外で生野ノ里を詠んだ歌


大江山遙かにおくる鹿の音は、いくのをこえて妻を恋ふらむ 権中納言実守
大江山越えて生野の末とほみ 道ある世にも逢ひにけるかな 刑部卿範兼(新古今和歌集)
草の原いくのの末にしらるらん 秋風吹く天の橋立 順徳院
大江山いく野の草のかれがれに 嵐の末につもる初雪 順徳院集
ふる雪にいくのの道の末までは いかがふみみむ天の橋立 正親町院右京太夫
忘れずば生野の道の遠くとも またもふみ見よ天の橋立 細川忠隆













よく分りませんが、百人一首の故地にはオーラを感じます







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