すさまじきもの 〜歌枕★探訪〜 |
上毛野伊奈良の沼の |
万葉集 |
通釈 眼前の上野の伊奈良の沼に生い茂っている大藺草のように、他村の女として恋心を抱いていた時よりも、我が思い妻とした今の方がむしろ思いがつのることよ。 万葉集「東歌」に詠まれているこの歌は、男女がお互いに相手への思いを詠み交わした「上野国相聞往来歌二十二首」の中に入っていることから、この土地の女性賛美、女性へのくどき歌等を意図として詠まれたものです。 伊奈良の沼で大藺草を栽培し、それを刈り取り、敷物に編むという農作業の経験を持つ人(女性)を詠んだ歌です。 以前、遠景として噂に聞いて想像していた他村の女性であった時よりも、今こうして愛が通じ、目の前に実際に見たお前の姿の方がずっとすばらしいことだ。という他村の恋人への賛辞であり、大藺草で敷物を織っている若い娘へのプロポーズの歌と申せましょう。(抜粋:板倉町史) この歌の場面となった「伊奈良沼」とされる往時の「板倉沼」は、広大な水面が広がり、大藺草が青々と繁っていたに違いありません。 この板倉沼も近世から近現代にかけて干拓され、僅かに三〇ヘクタール残った沼沢地は昭和五十五年に埋立てられ工業団地化されました。 先人が詠んだ熱き思いを子々孫々に伝えるため、板倉町文化協会が中心となって歌碑建設委員会を設け、有志の方々から寄附を仰ぎこの碑を建立したものです。 平成四年三月吉日 板倉町 板倉町教育委員会 ![]() |
え〜と、 ■現地訪問 板倉中央公園 ・・・ 板倉町板倉2742番地 経緯度 36.227615, 139.605433 に万葉歌碑がある ![]() 公園にはかつての伊奈良沼の一部が残されている。 ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() 万葉集の影響を受けて、後世でも伊奈良沼は |
逢う事はいならの沼の大藺草よそにや恋ひん袖はくつとも | 順徳院 |
おほゐ草波はうへにぞなりにけるいならの沼に晴れぬ五月雨 | 民部卿為家 |