すさまじきもの 〜歌枕★探訪〜 |
国道134号線、由比ヶ浜に稲瀬川の石碑が建っている。 内容を転記する。
万葉集で詠まれた 【 万 葉 歌 】 |
ま愛しみさ寝に吾は行く鎌倉の美奈の瀬河に潮満つらむか | 万葉集 |
川向いの恋人に逢いに行くのに、満潮で河口付近は渡れなくなり、上流までまわり道しないといけなくなったと嘆いている歌。 現在の河口付近の様子では、満潮になっても大雨になっても渡れそうな小さい川であるが、万葉集の時代は川の流れが今と違っていたのだろう。 現在の河口付近 (大雨の中) ![]() もともとは「水が無い瀬」の水無瀬の川の意味なので、この写真の川ぐらいが妥当だと思う。 次の歌も満潮と雨を題材にしている。 |
東路やみなのせ川にみつ潮のひるまもしらぬ五月雨の頃 | 藤原実定(夫木和歌抄) |
水が無い川の意味があるのに、五月雨の時期、満潮で、川は乾く間もない、ということ。軽い揚げ足取りのような歌である。 次も満潮を詠んだ歌。 |
さしのぼるみなのせ川の夕潮にみなとの月の影そちかつく | 冷泉為相 |
「夕潮」は夕方に満ちてくる潮。満潮になり、月が水面に映る様子を詠んだもの。 |