すさまじきもの 〜歌枕探訪〜


伊良湖(愛知県田原市)




伊良湖といえばサーフィンのメッカで、若い頃に大阪からよく遠征した。
アウェーなので、地元サーファーに気を使う必要があるが、絶景の中での波乗りは最高であった。
ただしここでは他人のサーフボードが飛んできて頭を切って流血したこともある。


20年ぶりだろうか、伊良湖に行ってきた。



豊橋から国道を走ってようやく伊良湖のフェリー乗り場に到着。観光案内板があった。


さっそく西行の歌碑を発見!



波もなし いらごが崎にこぎいでて われからつける わかめかれあま 西行
われから・・・海藻などに付着している甲殻 類節足動物の一種
わかめかれ・・・わかめを刈りなさい


歌碑の右側の丸い石には
「文治二年 西行法師は東大寺再建の勧進の為 二見ヶ浦より船出し 奥州へ旅立つ 伊勢湾を渡り其の第一歩を踏み締めた
伊良虞崎 船着場跡」

とあった。

      





芭蕉の句碑もあった。

鷹一つ見つけてうれし伊良湖崎 松尾芭蕉
  
 伊良湖シーサイドゴルフ倶楽部の入口近くに句碑









太平洋側の恋路ヶ浜へ行ってみた。

恋人の聖地らしい。
カップルはおらず、観光バスからツアーの老人たちが大勢降りてきていた。


伊良湖の燈台。

遊歩道になっている。

ここは万葉時代からの歌枕の地。



うつせみの 命を惜しみ 浪にぬれ 伊良湖の島の 玉藻刈り食す 万葉集
潮騒に 伊良虞の島辺 漕ぐ舟に 妹乗るらむか 荒き島みに 万葉集
打ち麻を 麻続の王 海人なれや 伊良虞の島の 玉藻刈ります 万葉集



 
浜木綿の花を発見!自生していた。

伊良湖岬の燈台の山を登ったところに万葉歌碑があるということであったが、炎天下で体力的に限界だったので、訪問しなかった。
今となっては残念無念。









そして、伊良湖といえばこの歌。
島崎藤村の「椰子の実」。
これは柳田國男が伊良湖に逗留していたときに、浜に流れ着いた椰子の実を発見し、それを藤村に語った。藤村は柳田に「君、その話を僕に呉れ給へよ、誰にも云はずに呉れ給へ」と言い、柳田は承諾した。
二年後に藤村は「椰子の実」を発表。

名も知らぬ 遠き島より 流れ寄る 椰子の実一つ
故郷の岸を 離れて 汝はそも 波に幾月
旧の木は 生いや茂れる 枝はなお 影をやなせる
われもまた 渚を枕 孤身の 浮寝の旅ぞ
実をとりて 胸にあつれば 新なり 流離の憂 
海の日の 沈むを見れば 激り落つ 異郷の涙
思いやる 八重の汐々 いずれの日にか 国に帰らん





「日出の石門」近くにあった歌碑


その向かいに「椰子の実」の音符碑もあった




日出の石門から見える海岸線は「片浜十三里」と呼ばれ、
浜名湖まで50km続いている。





*********





西行の歌をもう一つ

いらご崎にかつをつり舟ならび浮きてはかちの浪にうかびてぞよる 西行
伊良湖崎の沖の方から、風が悪いというので、鰹を釣る舟が 
一斉に並んで、西北からの風に立つ波に揺られ浜辺をさして
 近寄ってくることだよ (新潮日本古典集成山家集)








伊良湖岬でマーメイド発見!

この伊良湖岬から神島を遠望した写真の中に、

現代版マーメイド。
撮影してました。
外人の方のようでした。









渥美半島おそるべし。
伊良湖まで車ですぐと思ってましたが、
延々と道が続き、本当に遠かった。






copyright(C)2012 すさまじきもの 〜「歌枕」ゆかりの地☆探訪〜 all rights reserved.