すさまじきもの 〜歌枕★探訪〜 |
洛西の、小塩山麓に入野神社が鎮座する。 この辺りは万葉集以来の歌枕である。 往古、貴族が鷹狩りに訪れ、入野の地で休憩する合間に歌を詠んだとか。 ススキの名所。 現在は畑が広がる一般的な郊外の風景となっている。 【現地訪問】 入野神社 ![]() 由緒深い神社らしい。ただし現在では村の鎮守社のような佇まい。 ![]() 入野神社の周りの風景 |
これも パノラマモードで撮影。 一般的な農村風景が広がっていた。 こんな入野を詠んだ歌 |
さをしかの入野のすすきはつをはないつれのときか妹かてまかむ | 万葉集 |
さを鹿のいるのの薄初尾花いつしか妹が手枕にせむ | 新古今集 |
「小男鹿」は入野にかかる枕詞らしい。(知らなかった) その心は、鹿は野を分け入るから。 |
さをしかの入野のすすきほのめかせ秋のさかりになりはてすとも | 後鳥羽院御集 |
さをしかのいるののすすき露しけみたか手枕に月やとるらん | 後鳥羽院御集 |
一般的には、「いる」は「射る」に通じて、「 |
梓弓入野のくさの深けれはあさゆく人のそでぞ露けき | 堀河百首 |
とにかく入野は昔から自然豊かな場所であったようで、草木が詠み込まれている。 |
道とほみ入野の原のつぼすみれ春のかたみに摘みて帰らん | 源顕国(千載和歌集) |
ふゆ草と見えし入野のをささわらやよひのあめにふかみとりなり | 堀河百首 |