すさまじきもの 〜歌枕探訪〜



入野(いりの)(京都市西京区)





洛西の、小塩山麓に入野神社が鎮座する。
この辺りは万葉集以来の歌枕である。
往古、貴族が鷹狩りに訪れ、入野の地で休憩する合間に歌を詠んだとか。
ススキの名所。
現在は畑が広がる一般的な郊外の風景となっている。







【現地訪問】



入野神社

由緒深い神社らしい。ただし現在では村の鎮守社のような佇まい。



入野神社の周りの風景



これも
パノラマモードで撮影。
一般的な農村風景が広がっていた。







こんな入野を詠んだ歌


さをしかの入野すすきはつをはないつれのときか妹かてまかむ 万葉集


この万葉歌は、下句を若干変更して新古今集に収録されている


さを鹿のいるの薄初尾花いつしか妹が手枕にせむ 新古今集


「小男鹿」は入野にかかる枕詞らしい。(知らなかった)
その心は、鹿は野を分け入るから。


さをしかの入野すすきほのめかせ秋のさかりになりはてすとも 後鳥羽院御集


さをしかいるのすすき露しけみたか手枕に月やとるらん 後鳥羽院御集


一般的には、「いる」は「射る」に通じて、「梓弓(あずさゆみ)」を導いたりする。 


梓弓入野くさの深けれはあさゆく人のそでぞ露けき 堀河百首


とにかく入野は昔から自然豊かな場所であったようで、草木が詠み込まれている。


道とほみ入野の原のつぼすみれ春のかたみに摘みて帰らん 源顕国(千載和歌集)


ふゆと見えし入野のをささわらやよひのあめにふかみとりなり 堀河百首













ハイキングを楽しんでる人がたくさんいました。






copyright(C)2012 すさまじきもの〜「歌枕」ゆかりの地☆探訪〜 all rights reserved.