すさまじきもの 〜歌枕★探訪〜 |
板倉橋(岡山市北区)
板倉は山陽道の宿場町。 また吉備津神社に近いことから門前町として栄えた。 現在は街道沿いに「板倉宿」の史跡が整備されている。 ![]() ![]() 板倉宿の史跡は橋のそばにあった。 多分、この橋が歌枕の「板倉橋」だろうと思っていたが、それは間違いであったようだ。 家に帰ってから分かったことだが、往昔、板倉宿の西に高梁川の分流が流れていて、その川に架けた相当大きな橋を板倉大橋と言ったらしい。この板倉大橋が歌枕であった。 現在は跡形もなくなっている。 まあ、とにかく、板倉宿の近くに板倉橋があって、歌枕とされていたようだ。 |
板倉の橋をば誰も渡れども |
藤原公実(詞歌和歌集) | |
みんな板倉橋を渡っているけれども、 そのため飛び立ちにくそうに見えることだ。 (おかやまの和歌) |
君が御代板倉橋の音にのみ 聞くこそ渡れ年をつみつつ | 藤原為政 |
行きさきに万代もつむ板倉の 橋より渡る吉備の中みち | 藤原家経 |
行く先に、いかにも豊かな穀倉地帯ということがわかる板倉橋を渡って、 山陽道は吉備の中道へと出たのであった。(おかやまの和歌) |
をさまれる代の楽しさを打ち群れて よろこび渡る板倉の橋 | 藤原経衡(大嘗会和歌集) | |
稲は豊作、世は太平。村人はみんな連れ立って、 喜々として板倉橋を渡っている。(おかやまの和歌) |
いづくぞと心にかけてながむれば 霧たちわたる板倉の橋 | 古今残葉集 |
刈り積める早稲田の稲の多かれば をさめもやらず板倉の里 | 藤原経衡 |