すさまじきもの 〜歌枕探訪〜


板倉橋(岡山市北区)





板倉は山陽道の宿場町。
また吉備津神社に近いことから門前町として栄えた。
現在は街道沿いに「板倉宿」の史跡が整備されている。







板倉宿の史跡は橋のそばにあった。
多分、この橋が歌枕の「板倉橋」だろうと思っていたが、それは間違いであったようだ。
家に帰ってから分かったことだが、往昔、板倉宿の西に高梁川の分流が流れていて、その川に架けた相当大きな橋を板倉大橋と言ったらしい。この板倉大橋が歌枕であった。
現在は跡形もなくなっている。




まあ、とにかく、板倉宿の近くに板倉橋があって、歌枕とされていたようだ。


板倉の橋をば誰も渡れども 稲負鳥(いなおほせとり)の過ぎがてにする 藤原公実(詞歌和歌集)
みんな板倉橋を渡っているけれども、鶺鴒(せきれい)の群れのほうは
そのため飛び立ちにくそうに見えることだ。
(おかやまの和歌)


君が御代板倉橋の音にのみ 聞くこそ渡れ年をつみつつ 藤原為政


行きさきに万代もつむ板倉の 橋より渡る吉備の中みち 藤原家経
行く先に、いかにも豊かな穀倉地帯ということがわかる板倉橋を渡って、
山陽道は吉備の中道へと出たのであった。(おかやまの和歌)
 


をさまれる代の楽しさを打ち群れて よろこび渡る板倉の橋 藤原経衡(大嘗会和歌集)
稲は豊作、世は太平。村人はみんな連れ立って、
喜々として板倉橋を渡っている。(おかやまの和歌)


いづくぞと心にかけてながむれば 霧たちわたる板倉の橋 古今残葉集


刈り積める早稲田の稲の多かれば をさめもやらず板倉の里 藤原経衡














次回、板倉大橋があったとされる場所を訪問したいと思います。






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