すさまじきもの 〜歌枕探訪〜


五幡(福井県敦賀市)




福井県の有名な歌枕の地、五幡(いつはた)へ向かった。
と言って、現地に歌枕としての史跡が整備されている様子も特にないことから、とりあえず五幡神社に行ってみることにした。五幡神社は延喜式の式内社で、蒙古襲来時に五つの旗を掲げたという、由緒ある神社である。しかも直前情報として、境内の灯篭に万葉歌が印刻されているという。



ところが五幡神社に着いてみると、閉まっていた。


お寺なら閉まっていることも多いが、神社に入れないって、あまりないこと。なにかあったのかな?(イノシシが出るとか)



けれども、閉まっていたことは残念だったのかラッキーだったのか分からない。なぜなら、上記写真の鳥居の向こうに急な石段が見えるが、これがとても長くて大変らしい。しかも訪問したのが真夏の8月16日で、虫とかが跳梁してそう。
ある意味、閉まっていてホッとした。



柵を乗り越えて入っていくこともできず、非常に残念(?)であったが、退散することとした。この写真の正面の山の下に鳥居が見える。


こんな五幡を詠んだ歌


可敞流廻(かへるみ)の道行かむ日は五幡の坂に袖振れ我をし思はば 万葉集
五幡神社の灯篭にこの歌が刻印されているとか


帰山(かえるやま)五幡(いつはた)秋と思いこし 雲居の雁もいまやあひ見む 藤原家隆(続後拾遺集)


行きめぐり誰れも都に鹿蒜山五幡と聞くほどのはるけさ 紫式部


忘れなむ世にも越路の帰山 いつはた人に逢はむとすらむ 伊勢(新古今和歌集)


君をのみいつはたと思ひ越なれば 行き來の道は遙からじを 後撰和歌集


北陸道の今庄へ向かう途中の峠を越えたところにある「かへる山」(帰山、鹿蒜山、可敞流廻・・・南越前町)とカップリングして詠まれることが多い。再び都へ帰ることを願う「かへる山」と、いつ?はたして?の「いつはた」は親和性があるのだろう。



現在では、本当に何もない寂しげな集落と田んぼが広がっているだけだが、たぶん往古も同じような景色だったのではないか。


五幡の集落を望む。



田んぼ。この日は大雨の日だった。






五幡海水浴場。大雨だったが結構満員だった。













特に感想ありませーん






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