すさまじきもの 〜歌枕探訪〜


岩出の里(和歌山県岩出市)




和歌山県岩出市と言えば、中世戦国時代の根来衆が有名。
根来衆は根来寺の僧兵たちの集団で、根来寺を拠点にして豊臣秀吉の紀州攻めに抵抗したりした。


現在でも根来寺はあって、多くの観光客を集めている。
すぐ近くに西国三十三ヶ所の札所の粉河寺があるが、根来寺の方が賑わっているように思える。


今回、桜の開花直前に根来寺に行ったが、これは参拝が目的でなく、「中央構造線」の真上にちょうど根来寺があるから、中央構造線の痕跡巡りの際にたまたま寄ったもの。


入口。
参拝が目的でないので、中には入らなかった。



中央構造線のうち、岩出市付近を通る断層を「根来断層」という。
何年か前に道路工事で断層の露頭が見つかり、こじんまりと保存されたと聞いたが、今回の訪問では探したものの見つからなかった。

根来断層のすごいのは、過去に断層が動いたのは横ズレで、ちょうど根来寺のそばを流れる川筋も横にずれた様子が観察することができること。


川が北から流れてきて、西にずれている








中央構造線博物館ホームページより




【連続写真】










いやはや、大満足




これが根来断層!
道沿いに開析された谷地が続いている。
この道の右手(南)が西南日本外帯、左手(北)が西南日本内帯。

いやはや感動の風景である。











古典文学的なことを忘れていた。


「岩出」はみちのくの「岩手」と同じ音で、どちらも「言わないで」に掛けている。みちのくの「岩手」が立派な歌枕で後世に県名にまでなったのに対し、こちらの「岩出」はようやく2006年に岩出市ができたところ。

江戸時代の紀行文「熊野詣紀行」に収録されている。


咲ぬとはいはての里のいはねとも よそまでしるく匂ふ梅が枝 夫木和歌抄


見ぬ人にいかでかたらん口なしの いはでの里のやまふきの花 よみ人しらず(新勅撰集)

 




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再訪して、中央構造線の露頭を探したいと思います







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