すさまじきもの 〜歌枕★探訪〜 |
岩出の里(宮城県大崎市)
もう、かれこれ四か所目の「いわで」。 「言わない」に通じ、恋心を伝えられない気持ちを表している。 これは岩手県の「岩手山」、和歌山の「岩出の里」、大阪高槻の「磐手の杜」も同じ。 とは言え、仙台藩は歌枕の地を他藩から掠め取ることの常習犯。 藩内で歌枕っぽい地名を探し、むりやり歌枕として認定している。 そんなところへ松尾芭蕉が訪れて歌枕の旅をしたものだから、本物以上にホンモノになってしまった。 宮城県大崎市の「岩出の里」がどうなのかは分からない。 ただ、京の都からこの地を訪れた歌人はほとんどいなかっただろう。 とりあえず現地訪問 ![]() 戦国時代、ここに伊達政宗が本拠地を置いていて、その後も幕末まで伊達一族が岩出山城主を務めていたので、伊達氏ゆかりの地となっている。 ![]() 岩出山城跡。 ![]() 旧有備館 伊達家の学問所だったところ。 ![]() JR有備館駅に伊達政宗の乗馬像があった。 ![]() 岩出山町の目抜きドーリ。 ![]() ここはそれなりの観光地になっていた。 ![]() 松尾芭蕉像もあった。 奥の細道の旅程では、岩出の里に泊っているが、せっかくの歌枕の地なのに、なにも詠んでいない。 こんな岩出の里を詠んだ歌 |
見ぬ人に いかが語らむ くちなしの 岩出の里の 山吹の花 | 新勅撰和歌集 |
山吹の 岩出の里の 春よりや くちなし染めの 花に咲きけむ | 宗尊親王 |
「言わない」が「くちなし」に通じている。岩出の里には山吹が咲いていたのだろうか。 |