すさまじきもの 〜歌枕探訪〜


岩出の里(宮城県大崎市)





もう、かれこれ四か所目の「いわで」。
「言わない」に通じ、恋心を伝えられない気持ちを表している。
これは岩手県の「岩手山」、和歌山の「岩出の里」、大阪高槻の「磐手の杜」も同じ。


とは言え、仙台藩は歌枕の地を他藩から掠め取ることの常習犯。
藩内で歌枕っぽい地名を探し、むりやり歌枕として認定している。
そんなところへ松尾芭蕉が訪れて歌枕の旅をしたものだから、本物以上にホンモノになってしまった。


宮城県大崎市の「岩出の里」がどうなのかは分からない。
ただ、京の都からこの地を訪れた歌人はほとんどいなかっただろう。







とりあえず現地訪問


戦国時代、ここに伊達政宗が本拠地を置いていて、その後も幕末まで伊達一族が岩出山城主を務めていたので、伊達氏ゆかりの地となっている。



岩出山城跡。



旧有備館
伊達家の学問所だったところ。



JR有備館駅に伊達政宗の乗馬像があった。



岩出山町の目抜きドーリ。



ここはそれなりの観光地になっていた。



松尾芭蕉像もあった。
奥の細道の旅程では、岩出の里に泊っているが、せっかくの歌枕の地なのに、なにも詠んでいない。









こんな岩出の里を詠んだ歌



見ぬ人に いかが語らむ くちなし岩出の里山吹の花 新勅撰和歌集

山吹岩出の里の 春よりや くちなし染めの 花に咲きけむ 宗尊親王



「言わない」が「くちなし」に通じている。岩出の里には山吹が咲いていたのだろうか。











現在の岩出の里に歌枕の痕跡は見つけられませんでした。






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