すさまじきもの 〜歌枕探訪〜


岩瀬の杜(奈良県三郷町)




あの有名な万葉故地の「岩瀬の杜」に行ってきた。


そこは県道と大和川の間の細い場所で、そこに無理やり木を植えたような貧相なところだった。




森って、これだけかよ〜


帰ってからインターネットで調べたところ、次のような説明があった。
 
JR三郷駅から南西へ3分ほど歩いたところに「磐瀬の杜」の碑と鏡王女の「万葉の歌碑」がある。磐瀬の杜は関屋川の下流、大和川に合流する地点にあったが、立野農住地区整理事業の一環として建設省の河川改修工事が行われ、龍田本宮が、磐瀬の杜を現在の地に移転奉斎(ほうさい)した。その記念として、昭和58年4月に歌碑を建立したものである。(奈良県三郷町のホームページ)



もともとは竜田本宮の西の三室山周辺に岩瀬の杜があったらしい。
JRの駅も近く、大阪への通勤に便利なところなので戦後に住宅開発されたのであろう。
(せっかく行ったのに、移転前の岩瀬の杜の場所に訪問するのを忘れた。)




「岩瀬の杜」碑が建っていた。
すぐ後ろが大和川の土手。



現在では何とも言えないような場所であるが、古来いろいろな歌が残されている。


かむなびの磐瀬の杜の呼子鳥いたくな鳴きそ我が恋ひまさる 鏡大女(万葉集)
神奈備の岩瀬の森の喚子鳥よ、あまりひどく鳴かないでおくれ、そんなに鳴いては、
私があの人を恋しく思う心が増すばかりだから。

(奈良県三郷町のホームページ) 


上記、現在の「岩瀬の杜」に歌碑




神なびの岩瀬の杜のほととぎす毛無の丘にいつか来鳴かむ 志貴皇子(万葉集)
神奈備の岩瀬の森で鳴いているほととぎすよ。自分の住んでいる、ならしの岡には、
いっこう声が聞こえぬが、いつになれば来て鳴いてくれるであろう。
「大和万葉旅行」(堀内民一)




もののふの石瀬の社のほととぎす今も鳴かぬか山の常蔭に 刀理宣令(万葉集)




春来ぬといはせの杜のうぐひすの初音を誰につげはじむらむ 藤原定家











さはさりながら、「岩瀬の杜」のネームバリューはまだまだあります。





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