すさまじきもの 〜歌枕探訪〜


和泉府中(大阪府和泉市)




「更級日記」と「和泉府中」とは、なんてマイナーな組合せ!


少し前に前職の先輩と飲みに行った際に、「更級日記」の話題が出た。居酒屋で飲みながら更級日記について話すなんて不思議というか、珍しいというか、当然盛り上がることはなかった。


更級日記の作者の菅原孝標女は、少女時代は源氏物語の光源氏に憧れて日々無為に過ごしてしまい、中年になって物語ばかりに夢中になっていた若い頃を後悔した。その後は寺社詣でを繰り返した。結婚もあまり幸福ではなかったけれど、夫に先立たれ、さびしく晩年を過ごした。


そんな、菅原孝標女は和泉府中に来ていたようだ。
弟が和泉守をしていた時に3か月ほど滞在している。


更級日記には、和泉府中に滞在したときの内容は書かれていない。往復の旅のことだけ書かれている。






■和泉府中の駅から、和泉の国の国府跡を巡った
 



和泉国府跡の石碑
(和泉市府中町4−6−16御館山公園)


御館山公園
「御館」とは、なんとも国府跡の名残


泉井上神社 (和泉市府中町6−2−38)
「和泉」の名はこの地に湧き出た泉に由来する


泉井上神社
なんとも由緒深い趣があった。


泉の跡
今は説明板があるだけ





******





JR和泉府中の駅前商店街

シャッター通りになっていました


JR和泉府中前


駅前再開発中


弥生時代の建物を模したデザインの駅舎


駅の内側から天井を見上げる
弥生時代の建物をモチーフにしているらしい





******











 



 


さて、こんな和泉を詠んだ歌を紹介。



源順は平安時代中期の歌人。
行政官としても順調に出世してきたのだが、和泉守に任じられたとき、余程気に入らなかったのか、身の不幸を嘆いて次のような歌を詠んでいる。

程もなきいづみばかりに沈む身はいかなる罪の深きなるらむ 源順(拾遺和歌集)




土佐日記では、任地の土佐国から都へ帰る途中、天候が悪く、風待ちのために泉州あたりの港にずっと停泊したままなのを嘆いて、ある女がこんな歌を詠んだ。

手をひでて寒さも知らぬいづみにぞ汲むとはなしに日ごろ経にける 土佐日記
(私訳)手をつけても冷たくない泉があるという和泉にて、泉を汲むこともなく日が経っていく 





赤染衛門も和泉国関連の歌を残している。
御館山公園にあった「御館山国府庁跡碑」(和泉南ロータリークラブ設置)の中に歌が紹介されていた。

人よりもわきて嬉しきいづみかな 雪げの水のまさるなるべし 赤染衛門



和泉市府中町4−6−16御館山公園に説明文とともに歌の紹介











和泉式部の名前は夫の橘道貞が和泉守であったからです。
和泉式部も夫の任国の和泉国に来ていたようです。






copyright(C)2012 ゆかりの地☆探訪 〜すさまじきもの〜 all rights reserved.