すさまじきもの 〜歌枕探訪〜


海津の里(滋賀県高島市)







有乳山(あらちやま)雪げの空になりぬれば海津(かいづ)の里にみぞれ降りつつ 藤原仲実(永久百歌)



(個人的な考え)

有乳山には矢田野がセットで詠まれることが多いが、実は有乳山が福井県敦賀市に位置する一方で、矢田野は奈良県にある。

奈良の矢田野から遠く福井県の有乳山に思いを馳せて詠んだ万葉歌が本歌となって多くの歌が詠み継がれるなか、次第に人々は矢田野は有乳山の麓にあるものと錯覚していった。

ほとんどの詠み手は京の都にいながら、はるか有乳山は越前にあって、昔は関所があり、いつも雪が降っている寂しいところ、そして山麓に矢田野がある、というお決まりのパターンで歌を作ってきた。

ただし、この歌の作者の藤原仲実は越前守に就任しているので、実際に現地に行っており、矢田野という場所がないことを知っていた。

このため、実在する地名である「海津」に置き換えて作詠したのだろう、多分。





え〜と「海津」は塩津と並ぶ琵琶湖水運の要衝。
日本海を渡ってきた荷物は敦賀から陸路で有乳山の峠を越えて、海津や塩津の港から琵琶湖を舟で大津へ渡り、都へ運ばれた。

現在の海津の集落には、かつて琵琶湖舟運で栄えた頃の面影が残っているらしく興味があったが、今回は街中見学はパス。

とりあえず集落の全体像を撮影してきた。



海津大崎湖岸公園から海津の集落を望む



拡大写真
石積みの堤防跡が見える



全体写真



ここは桜の名所らしい
花の盛りの時期は大渋滞になるようだ













集落の中を歩きたかったのですが、駐車できるところが見当たりませんでした

















【 追 記 】


2024年のNHK大河ドラマは「光る君へ」。
源氏物語の作者、紫式部を吉高由里子が演じた。
紫式部は藤原道長の幼馴染みで恋人であったという設定。

紫式部は、父親の藤原為時の越前国司赴任に同行し、琵琶湖を舟で渡った。



どうやって撮影したのだろう


紫式部は舟の中で琵琶を弾いている


上陸するときに大雨が降ってきた


上陸したのは海津、それとも大浦か、塩津か


(NHK画面を接写)









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