すさまじきもの 〜歌枕探訪〜


甲斐の猿橋(山梨県大月市)







『六十余州名所図会 甲斐 さるはし』(歌川広重)

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歌川広重が全国六十余州の名所を描いたなかで、甲斐国の代表的な景勝地として猿橋が選ばれている。

現在でも国の名勝に指定され、山梨県の代表的な観光地になっている。

江戸時代には錦帯橋や木曽の箋とともに「日本三奇橋」として知られていた。深い谷を刎木(はねぎ)で支えた橋で渡しているのだが、刎木の工作の美しさと渓谷美が相まって、まさに絶景である。



これが甲斐の猿橋




刎木。
雨で腐食しないように屋根が付けられている。




猿橋は現在でも渡ることができる。




想像以上に深い谷であった。紅葉がきれいだろう。
猿橋から見える現在の新猿橋。こちらはアーチ橋。
西向き。




東向き。手前は東京電力の水路橋。




水路橋を上から眺めた。水力発電所用の水を送っている。水路橋も向こうのトンネルも国の重要文化財。






猿橋を詠んだ歌


名のみしてさけぶもきかぬ猿橋の 下にこたふる山川の声 聖護院道興(廻国雑記)


谷深きそばの岩ほのさる橋は 人も梢をわたるとぞみる 聖護院道興(廻国雑記)


水の月なほ手にうとき猿橋や 谷は千ひろのかげの川せに 聖護院道興(廻国雑記)


いろいろ探してみたが、猿橋を詠んだ歌は少ない。
聖護院の門跡の道興は、東国巡りの旅で実際に猿橋を訪問している。
猿橋の構造が複雑なためか、実際に見た人でないと詠めないのだろう。






さるはしや腹にこたへる雉子の声 杉坂百明


若葉かゞやく今日は猿橋を渡る 種田山頭火


猿橋や吹まとまつて氷る風 倉田葛三






甲斐叢記(甲斐名所図会)「猿橋」

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う〜ん、猿橋でなく、もっと違う名前の方がいいと思う






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