すさまじきもの 〜歌枕探訪〜


柿本神社(兵庫県明石市)




えーと、
兵庫県明石市の「人丸町」に「人丸山」があって、そこに「柿本神社」が鎮座している。まさに柿本人麻呂づくしである。
と言うものの、明石がどれほど柿本人麻呂にゆかりがあるのかと言えば、万葉集に明石を詠んだ歌が数首あるだけで、しかもそれは明石の沖を船で通過した時に詠んだ歌。
出生地でもなさそうで、官人としての任地先でもなく、没した場所でもなさそうで、明石と柿本人麻呂の関係はよく分からない。

ただし、柿本神社のホームページによると、「元和六年(1620年)当時、明石城主であった小笠原忠政公が人麿公を歌聖として大変崇敬され」、この地に柿本神社を建立したとある。

しかも柿本人麻呂の死去から1000年に当たるとされる1723年、命日とされた3月18日に盛大な一千年祭が柿本神社で営まれたらしい。

そして、その後は和歌の神様として明石藩主や宮廷人から崇敬を受けたとある。(WIKIPEDIAより)

いやはや、「人麻呂ゆかりの地」へ、まっしぐらである。






そんな柿本人麻呂の明石を詠んだ歌


天離(あまざか)る 鄙の長道(ながち)ゆ 恋ひ来れば 明石の門とより 大和島見ゆ 柿本人麻呂(万葉集)
遠い田舎からの道のりを恋しく思いながらやってくると 明石の海峡から
大和の山々が見えてきた(新編日本古典文学全集) 


柿本神社境内に歌碑



灯火の明石大門に入らむ日や漕ぎ別れなむ家の辺り見ず 柿本人麻呂(万葉集)
 明石の海峡に船がさしかかる日には大和とも漕ぎ別れることであろうか
家の辺りも見られないで
 (新編日本古典文学全集)













兵庫県を旅行した時に柿本神社に行ってきた。


古くは「人丸神社」、地元民は「人丸さん」と呼ぶらしい



神社の真ん前に天文科学館があった。



これは水平日時計。
ここは日本標準時間の東経135度の子午線が通過。



柿本神社から明石海峡の眺め。



「盲杖桜」
この桜について物語がある。
盲杖桜

昔ひとりの盲人が九州からこの社に詣でて
ほのぼのとまことあかしの神ならばわれにも見せよ人丸の塚 
と詠じるとたちどころに両眼がひらいて物を見ることができるようになった
その人は光明を得たよろこびのあまり社前の庭に桜の杖を献じて去って行った
やがてその杖に枝が生じ葉が茂って春になると花を咲かせたのでこれを盲杖桜と名づけて後の世に伝えたものである


「盲杖桜」の碑の説明文



初句の“ほのぼのと”は、次の歌で「明石つながり」

ほのぼのと明石の浦の朝霧に島がくれゆく舟をしぞ思ふ 古今和歌集







******







その他、境内にあった歌碑と句碑



大君は神にしいませば天雲の雷(いかづち)の上に盧りせるかも 柿本人麻呂(万葉集


明石とは関係ないが、人麻呂つながり





ともすれば迷いがちなる敷島の道をあかしの神に学ばむ 野崎英夫


大正時代の歌人?





壺やはかなき夢を夏の月 松尾芭蕉


明石と言えばタコ
柿本神社の正門前に句碑







播磨名所巡覧図会「人丸」

早稲田大学図書館












和歌の神様ということなので、とりあえず行きました。





copyright(C)2012 すさまじきもの 〜「歌枕」ゆかりの地☆探訪〜 all rights reserved.