すさまじきもの 〜歌枕探訪〜


竈門(かまど)(福岡県太宰府市)





滋賀県の比叡山は、京都から鬼門の北東に位置し、それゆえ鬼門封じの王朝鎮護の山とされてきた。

京都と比叡山の関係と同じく、九州太宰府の北東に聳える宝満(ほうまん)山は、太宰府を守護する山である。

宝満山は標高829メートル、古くから山岳信仰の山として知られ、修験道の道場が形成されていたらしい。

そんな宝満山は、かつては竈門(かまど)山と呼ばれ、筑前国の歌枕であった。

こんなエピソードがある。

平安時代、清少納言の父親である清原元輔が肥後守として九州に赴いた。竈門山の麓で泊ったとき、道端の木に古く書き付けた上の句があった。元輔はこの句に和して下の句を詠んだ。


「筑紫へまかりける時にかまど山のもとにやどりて侍りけるに
みちづらに侍りける木にふるくかきつけて侍りける」
(詞書)

春はもえ秋はこがるるかまど山

霞もきりもけぶりとぞ見る 清原元輔(拾遺和歌集)





「歌枕歌ことば辞典」(笠間書院)によると、竃に見立てて「(こが)る」「煙」「くゆる」「燃ゆ」「火」などの語を詠み込むことが多かったようだ。
竃の火で雪が消えるという趣向もあった。


こんなかんじ


かまど山雪はひまなくふりしけどの気をちかみ溜らざりけり 曾禰好忠

かまど山ふりつむ雪もむら消えていまさわらびももえやしぬらむ 大弐三位賢子

まだ知らぬ人の見るべきしるしにや竈門の山けぶり立つらむ 橘為仲

かまど山また夜をこめてふりつもる峰の白雪明けてこそ見め 大江匡房

たちつづく雲を千里のにてにぎはふ民のかまど山かな 細川幽斎









■竈門山



太宰府天満宮の菖蒲池から竈門山を眺望



竈門山の拡大写真




民家越しの竈門山。
言われてみると竃に似ているような。



筑紫野市の吉木小学校と竈門山。右奥の高い山。



筑紫野市阿志岐から眺望













大宰府鎮護として竈門神社が奈良時代に創建された。
竈門山の山頂に上社があり、山麓に下社がある。
下社の方にお詣りする計画であったが、時間がなく断念。


太宰府天満宮の中に竈門神社の授与所があった。














特に感想ありません。






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