すさまじきもの 〜歌枕探訪〜


神島(三重県鳥羽市)




伊良湖水道に浮かぶ神島。三島由紀夫の小説「潮騒」の舞台である。「潮騒」は本の厚さが薄く、すぐ読めた記憶がある。
小説の中、突然の雨に見舞われた男女(新治と初江)が岬の監的哨の建物の中で焚き火をしているシーンで
「その火を越えてこい。その火を飛び越してきたら・・・」
と互いの気持ちを通い合わせるクライマックスがあったが、なんとNHK連続朝ドラマ「あまちゃん」にも同様の場面がある。





「あまちゃん」 第46回
第8週 「おら、ドキドキがとまんねぇ」
天野行きます!その火を飛び越えて



お座敷列車の下見をしにアキと種市が北鉄の車輌工場に秘かに入っていく。寒かったので二人は焚き火をした。そして種市が小説「潮騒」の話をする。するとアキは焚き火を飛び越えると言って、
アキ)天野、行きます!
種市)お前が飛ぶのか?
アキ)はい、その火を飛び越えます!
種市)やめろ天野、落ち着け!
アキ)先輩〜
種市)天野〜

・・・の場面で、アキを追い越して焚き火をジャンプしたのが駅員の吉田君。そして「火の用心」(吉田)、「すいません」(種市)


この場面は面白かった。









「あまちゃん」のテーマソングである「潮騒のメモリー」も
♪来てよ その火を 飛び越えて〜♪
のフレーズで盛り上がる。
ドラマの中で何回も聞いた。



なお、小説「潮騒」の『潮騒』は柿本人麻呂の万葉歌から採られている。

潮騒伊良虞の島辺 漕ぐ舟に 妹乗るらむか 荒き島みに 万葉集
波がざわついている伊良湖岬から、あの荒い島に向って
漕ぐ舟に愛する女性が乗っているのであろうか


この万葉歌に出てくる「荒き島」は神島のことであろう。



神島は「恋人たちの聖地」に認定されていて、伊良湖でも恋路ヶ浜が認定されている。古来からこの辺りは若い男女が恋の炎を燃やす場所であったのか。











伊良湖から神島を遠望


日出の石門から神島を眺望








【追記】

資料を整理していたら、次のような神島の歌があったので、追加記入します。

あきをゆく神島山は色きえて嵐の末にあまのもしほ火 鴨長明(伊勢記)

2015/8/13












NHKの朝ドラが好きです。
今までで一番良かったのは「ちりとてちん」だと思います。
ヨメは「カーネーション」と言ってます。






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