すさまじきもの 〜歌枕探訪〜


神島(岡山県笠岡市)





昔、水を張った田んぼでカブトエビを見つけ、これは大発見だと思ったことがある。
いやはや、天然記念物の方は「カブトガニ」であって、「カブトエビ」は毎年夏前に田んぼで大発生する一般的な生物であるらしい。
田んぼに水を張ったら孵化してきて育ち、産んだ卵は翌年まで田んぼの土の中に残るとのこと。大きさは1センチとか2センチぐらい。
都会育ちなのでよく分かっていない。
なお、カブトガニは全長50センチを超えるので、全くの別物である。


天然記念物のカブトガニが見られることで有名なのが、岡山県笠岡市の神島の辺り。よくテレビで見かける。
あまり生物に興味がないが、カブトガニは好きで、自然破壊による生息数の減少が心配だ。


そんな天然記念物カブトガニの生息地の笠岡市神島を訪問。
カブトガニが目的ではなく、この地で詠まれた歌が万葉集に入集されていることから、歌枕として訪問。








【現地訪問】


天神社に訪問(岡山県笠岡市神島5335)
神島はもともと一つの島であったが、近世以降に干拓が進み、本土と陸続きとなったもの。



上の写真の逆に、社殿側から撮影。
海に面している。



ここの海がカブトガニの繁殖地である。(向かい陸地との間の水道部分)



現地案内板
天然記念物のカブトガニを守るため、潮干狩りはやめようとの内容



潮干狩りではなく、釣りを楽しむ人たちがいた。
6月下旬だったので、キスを狙っているのだろうか。



水道部分にあった島。
この辺りはもともと島が連なっていたところ。






こんな神島を詠んだ万葉歌




月読の光を清み神島の 磯間の浦ゆ船出す我れは 万葉集
(私訳)月の光が清らかなので、我々は神島の磯間を経由して船出します。 


天神社境内に歌碑








大嘗祭関係でも詠まれている。


神島の浪の白木綿(しらゆふ)かけまくも 畏き御代のためしとぞ見る 藤原資実(続拾遺和歌集)









頼山陽もこの地に遊び、七言絶句を詠んだ。
お世話になった菅茶山先生を偲んだ詩のようだが、よく分からない。
現地に立派な詩碑があった。















アメリカ東海岸ではカブトガニが大発生するそうです。






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