すさまじきもの 〜歌枕探訪〜


加茂(山形県鶴岡市)




山形県の庄内平野。江戸時代、ここに庄内藩が置かれ、奥州地方最大の譜代大名の酒井氏が統治していた。

当時の全国的な八景ブームから、庄内藩も藩内の景勝地の中から選りすぐり、「大泉八景」を選抜。(「大泉」は「荘内」の別称)

さすがに自然環境は豊かで、最上川や月山、羽黒山、鳥海山、荘内砂丘など現在でも一級の観光地が含まれている。

多分、日本にある八景の中で、一番スケールがデカいのではないかと思う。かの近江八景もここまでの大物役者が揃っていない。

大泉八景 備考
最上川夜雨
袖浦夕照 最上川河口
浜中落雁 荘内砂丘鳥取砂丘に次ぐレベル
加茂帰帆 加茂港
鳥海暮雪 鳥海山
羽黒晩鐘 羽黒山
月山秋月 月山
金峯晴嵐 金峯山、これもローカル

こんなスター揃いの八景の中で、ローカル感がにじみ出ているのが「加茂帰帆」の加茂港。鶴岡市の西の日本海に面した港。今となっては二線級の漁港となっている。

ところが、江戸時代は鶴岡の外港として、北前船も寄港したという重要な港湾だったようだ。多くの船が港に出入りし、壮観な眺めだったようだ。

そんな「加茂帰帆」を詠んだ歌は次の二首

浪にきへなぎさに見えて水鳥の加茂のすさきに帰る釣舟 大泉八景和歌

吹送る加茂のうら風たかけれバ雲路を帰る波のつり舟 大泉八景和歌




そんな加茂の港を訪問したのだが、当日は朝から大雨洪水警報が出ていて、大変であった。



スマホの雨雲レーダー





【加茂漁港】 鶴岡市加茂

外海方向
堤防に囲まれているようだ。
もちろん帆船の姿はない。



加茂の町には、江戸時代の繁栄した頃の商家の街並みが残っているとか。


大雨で大変だった。



これも。大雨の加茂漁港を車の中から撮影。



まさに田舎の漁港であった。












今となっては誰も大泉八景のことなど知らないと思います。






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