すさまじきもの 〜歌枕探訪〜


香良洲(三重県津市)






いやはや、見事なデルタ地帯である。
雲出川と伊勢湾に囲まれた三角州、この三角州全体が香良洲町。2006年に津市と合併するまでは独立した自治体であった。

こんな地形でありながら、歴史はそこそこ古い。
この地に鎮座する香良洲神社は社伝によると創建は六世紀までさかのぼるという。

へ〜、どう見ても少し前まで雲出川河口の干潟だったような感じなのに、そんな昔から土地として活用されていたのか!





香良洲神社

(写真はWikipediaより)

たしかに由緒あり気で粛然とした雰囲気であった。



伊勢参宮名所図会の香良洲神社
(早稲田大学図書館)





香良洲海岸


南向き
堤防が築かれて、白砂青松がなくなったらしい。



北向き
はるかに津の港湾が見える。



ここは香良洲海水浴場
真夏に行ったのだが、ほとんど海水浴客はいなかった。




こんな香良洲の海岸に因んだ歌を西行が残している。


香良洲崎の浜の小石と思ふかな白もまじらぬ菅島の黒 西行(山家集)


う〜ん、直訳すると「香良洲海岸の小石かなと思うぐらい、白色がまじらない菅島の黒さ加減」
つまりこの歌は、志摩国の菅島の黒石の海岸にいる西行が、黒いカラスの名を持つ香良洲の海岸も同じように黒色の小石があるのだろうと想像して詠んだもの。
しかしながら実際は写真のとおり、白色ではないが肌色程度の色合いの砂地が広がっていた。
だから西行は香良洲へは来ていないのかも知れない。
(どっちでもいいのだが)







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入江の海水浴場ではないので、厳しい波がきてました。




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