すさまじきもの 〜歌枕探訪〜


鹿背山(京都府木津川市)





有名なこの歌、

都いでて今日みかの原いづみ川かは風さむし衣かせ山 古今和歌集

内容は、都を出てから今日で三日目で、「みかの原」。そこを流れる「いづみ川」の川風が寒いので衣をかしてくれ(「かせ山」)。
また「泉川」を「出づ身かは」としたり、「風が寒い」を「冷淡だ」としたり、掛言葉を多様しているダジャレ歌。
オヤジギャグ連発だがそれほど嫌味がない。

地名も有名どころを三か所 プラス 「」=「今日(京)」を織り込み、全く充実している。

歌の舞台は、京都から奈良へ通じる街道に近く、しかも「みかの原」はかつての「恭仁京」があった場所。
そんな「みかの原」から「いづみ川」を隔てたところに「かせ山」がある。




正面の山が「かせ山」
流れている川は「いづみ川」




正面の山が「かせ山」
右手の平地が「みかの原」




「みかの原」」から「かせ山」を眺望。
「鹿背山」と書き、鹿の背中からイメージした名前なのだろう。その名のとおり、きれいな山容である。




その他、「かせ山」を詠んだ歌


泉川かは波しろく吹く風に夕べすずしき鹿背山の松 後鳥羽院


娘子が 績麻かくといふ 鹿背の山 時し行ければ 都となりぬ 万葉集


渡し舟棹さすみちに泉河今日より旅の衣かせ山 一条兼良(藤川の記)




 










鹿背山と言えば、昔の大仏鉄道の廃線跡が
有名だが、これはその道の専門家に任せよう。





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