すさまじきもの 〜歌枕探訪〜




春日野(奈良市)





大和名所図会「春日野」

早稲田大学図書館


「春日野」ですぐに思い浮かぶのは、伊勢物語の初段、「初冠」。
「むかし男」こと在原業平が狩りにでかけた先の春日の里で美しい姉妹をのぞき見して、すっかり夢中になって恋文を送った逸話。
男は着ていた狩衣の裾を切って歌を書いた。

春日野の若紫のすりころもしのぶの乱れかぎり知られず 在原業平
春日野の若紫のようなあなたがたの姿にこと狩衣の模様どおり私の心は
千々に乱れています。(角川ソフィア文庫 新版伊勢物語)
 

ここから始まる伊勢物語はプレイボーイ在原業平のさまざまな恋物語を描いていて、業平の一代記となっている。








その春日野とは、当時在原業平が奈良の京に所領地を持っていたところらしいが、それはどこだか分からない。
現在では、春日野と言えば東大寺東側に「春日野園地」があり、奈良公園の中で最も広い多目的広場になっている。


春日野園地。
鹿がたくさんいたが、写真に写っていない。


写真を撮る角度によっては、東大寺や三笠山、若草山が背景にはいる。
この写真には何も背景に写っていない。















さてさて、春日野を歌った和歌はとにかくたくさんある。
その中から、歌碑の写真を撮影できた分を紹介。
まあとにかく春日野はその名の通り、春の日の歌が中心のようだ。






見わたせば春日の野辺に霞立ち咲きにほへるは桜花かも 詠み人知らず(万葉集)



県庁東側の交差点に歌碑





うらうらに照れる春日にひばり上り心悲しもひとりし思へば 大伴家持(万葉集)



奈良国立博物館の北の氷室神社境内に歌碑




氷室神社。昔は冬にできた氷を夏まで保存していた。












春日野を越えて春日大社へ向かった。















この日、奈良じゅうを歩いて回り、本当に疲れました。
 







copyright(C)2012 ゆかりの地☆探訪 〜すさまじきもの〜 all rights reserved.