すさまじきもの 〜歌枕探訪〜


堅田(滋賀県大津市)




近江八景の「堅田落雁」の舞台。  

(Wikipedia)

比良山を背景にして、雁の群れが列を作ってねぐらに帰る。湖上には帆船が行きかい、よく見ると、左手に湖畔から突き出た浮御堂が見える。堅田集落の晩秋の夕暮れ時の光景である。







琵琶湖は、この堅田付近で対岸との距離が最も狭まっている。中世では堅田衆によって湖上往来の関が設けられ、湖上交通を支配していた歴史がある。



そんな琵琶湖の狭窄部に現在では琵琶湖大橋が架かっている。

琵琶湖大橋。浮御堂から撮影。







観光案内板の写真を撮ってきた。






    

堅田の観光と言っても、主体は浮御堂で、その他も浮御堂周辺に集まっているようだ。







さて、堅田に因んだ和歌を探したが、あんまり見つからなかった。
中世には対岸の守山との間に「堅田の渡し」があったらしいので、そんな場所なら悲喜交々のエピソードが和歌として残されているように思えるのだが、見つけたのは下のこれだけ。


さざ波やよるべも知らずなりにけり逢ふはかたたのあまの捨舟 道玄(新続古今集)









追記(2018年)


堅田を詠んだ歌を見つけた。

心引くかひこそなけれあふ事はかたゞの浦のあまのうけ縄 祝部成賢(続後拾遺集)
春のくるかたゞの浦の朝なぎに見るめもしらず立つ霞かな 円光院入道前太政大臣
あふことはかたゞの浦の沖津波立つ名ばかりや契なるらん 道暁法師(新拾遺集)
終に又うき名やたゝん逢ふ事はさても堅田の浦のあだ浪 宗成(続拾遺集)
いにしへはいともかしこしかたゞ鮒つゝみやきなる中の玉章(たまずさ) 衣笠内大臣(新撰六帖)
来し方は堅田の浦に干す網の目に懸りつる山の端もなし 一条兼良(藤川の記)

「堅田」と「かただ=難しい」を掛けているのが目立つ。






琵琶湖大橋を渡ったことがありません。




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