すさまじきもの 〜歌枕探訪〜


勝間浦(かつまのうら)(山口県防府市)







周防国の国府は勝間の浦、現在の防府市に置かれた。


さてさて、周防国は地味な国である。


明治維新の原動力となった長州藩は長門国と周防国で構成されるが、長門国に比べて周防国の影が薄い。防長と称されるが、一般的に長州と呼ばれる。


はたして周防という国があったことをどれだけの人が知っているのだろうか。


大阪在住の人は、心斎橋の目抜き通りに「周防町通り」があるので、なんとなく親しみを感じるものである。


ただし、防府のことを「ぼうふ」と読むものと思っていたので、ワープロ変換でどうしても「防腐」となってしまうので困っていた。















901年菅原道真は、藤原時平の讒言により太宰府に左遷された。
九州へ下向の途上、周防国の勝間浦に寄港し、しばらくの間滞在された。
菅原道真が太宰府にて薨去したのち、勝間の地に防府天満宮が創建された。


そして974年、清少納言の父の清原元輔が周防の国司として赴任する。
なんと、2009年公開のアニメ「マイマイ新子と千年の魔法」は山口県防府市が舞台であるが、主人公たちは千年の昔にタイムスリップして、清原元輔に会うというストーリー。


しかも勝間の浦で清原元輔は歌を詠む場面もある。


思ひ出でよ千代の子日(ねのひ)の春ごとに勝間の浦の岸の姫松 清原元輔


「子日(ねのひ)」は正月最初の子の日。
野外で宴会して長寿を祝う日で、清原元輔の歌はそんな祝宴の席で詠まれたのだろう。




アニメでは詠まれていないが、同じような歌を清原元輔が詠んでいる


ちはやふる勝間の宮の姫小松 帯に手向けて仕へまつらむ 清原元輔


「勝間の宮」は現在の防府天満宮だと言われている。








【現地訪問】

取り敢えず防府天満宮に行ってきた


楼門



拝殿



春風楼から南方向を望む
往昔はこの手前まで海だったようだ



毛利重就公像
江戸時代中期の長州藩主











すぐ近くに国衙跡があったのですが、忘れていて通過してしまいました





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