すさまじきもの 〜歌枕探訪〜


勝野(滋賀県高島市)





【勝野津】



1000年以上も前のことはよく分からないが、現在の「乙女ヶ池」は「香取の海」と呼ばれ大きな入り江が形成されていたようだ。

そして入り江の北端には「勝野津」という古代の港があったとか。







無理やり現在の地図に押しはめると、乙女ヶ池の北側に大溝漁港という港があり、これとか勝野津の名残と言える。

現に勝野の港を詠んだ万葉歌碑が設置されている。


大御船泊ててさもらふ高島三尾勝野の渚し思ほゆ 万葉集


大溝漁港の西にある公園に歌碑


天智天皇たちがこの高島の勝野津に御舟を停泊し、風波の静まるのを待っていた時の渚の情景を回想して歌ったもの、らしい。



これが勝野津、現在は大溝漁港。
ルアーマンがブラックバスを狙っていた。














【勝野の原】



さて、この辺りの地名は今でも「勝野」として残っている。

この勝野の原野で夕暮れが迫る中、その日の宿泊地も決まっておらず、途方に暮れたという状況を詠んだ万葉歌


いづくにか我が宿りせむ高島勝野の原にこの日暮れなば 万葉集


関西電力高島制御所入口に歌碑








これが勝野の原の現在の様子。
大規模な水田が広がっていた。
多分古代では原野が広がっていたのだろう。 









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