すさまじきもの 〜歌枕★探訪〜 |
桂川(京都市西京区)
京都の桂川も歌枕である。 中国の古典で、月には桂の木、いわゆる月桂が生えており、大変縁起の良いものとされている。 古代、この地に これに月桂の伝承が着想されて、桂川は月と共に詠むものとされた。 ■桂川を詠んだ歌 |
桂川てるつきかげのやどる夜は もにすむ魚ぞ底にみえける | 源師時(堀川院百首) |
くまなしや朝夕霧に晴れずとも桂の里の秋の月影 | 後鳥羽院集 |
久方の桂の里のさよ衣をりはへ月のいろにうつなり | 拾遺愚草 |
月のすむ川のをちなる里なれば 桂の影はのどけかるらむ | 源氏物語 |
照る月の桂の川し清ければ上下秋の紅葉をぞみる | 古今六帖 |
さきの日に桂の宿を見しゆゑはけふ月輪にくべきなりける | 後拾遺和歌集 |
誰しかもまつの尾山の葵草かつらに近くちぎりそめけむ | 順徳院集 |
梅津川岩間の波のたちかへり春の花かとうたがはれつつ | 曾禰好忠 |
■土佐日記 土佐日記の最終場面、土佐からの海を渡り、淀川を遡って山崎から上陸。夜になって月の明かりの中、桂川を渡って京に入った。 京に戻った嬉しさから、みんな歌を詠んだ。 |
ひさかたの月におひたる桂川底なる影も変はらざりけり | 土佐日記 |
月に生えているという桂の木。その名と同じ桂川は、 底に映る月の光までも変わっていない。(Yahoo!知恵袋) |
天雲のはるかなりつる桂川袖をひでても渡りぬるかな | 土佐日記 |
土佐では空の雲のようにはるかに遠かった桂川。 その川を今、袖を濡らしながら渡ったことよ。(Yahoo!知恵袋) |
桂川わが心にも通はねど同じ深さに流るべらなり | 土佐日記 |
桂川は、私の心に通じてはいないけれど、私が今日を 懐かしむ心と同じ深さで流れているようだ。(Yahoo!知恵袋) |
![]() 一般的に嵐山の渡月橋までは大堰川、そこから下流を桂川という。 ![]() 渡月橋から下流を望む ![]() 松尾橋 ![]() 松尾橋から下流 |