すさまじきもの 〜歌枕★探訪〜 |
勝手神社(奈良県吉野町)
吉野に逃げ込んだ義経主従たちは、後白河法皇の裏切りにあい、
吉野から脱出せざるをえない事態となった。
愛妾の静御前は法楽の舞を舞って、そのすきに義経たちを逃がしたが、
その舞台となったのが吉野の勝手神社、(らしい)
吉野へ秋の紅葉ざくらを見に行った時に勝手神社に訪問。
吉野の紅葉ざくら(中千本)
その勝手神社は平成13年に不審火で本殿が焼失したとのこと。
現在、再建に向けて寄付金が募られている。
この向こうに本殿があった。
吉野山 峰の白雪 ふみわけて 入りにし人の 跡ぞ恋しき | 静御前 |
有名なこの歌。なお、この歌の本歌は古今和歌集の
み吉野の山の白雪踏み分けて入りにし人のおとづれもせぬ | 壬生忠岑 |
勝手神社にあった「舞塚」
静御前が舞を舞ったところ。
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その他、こんな歌碑があった。
吉野山さくらさく日にもうで来てかなしむ心人しらめやも | 折口信夫 |
「勝手神社」って変な名前であるが、戦いで勝つという意味で、
戦いの神様であったとのこと。
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さて、勝手神社の背後の山は「袖振山」。百人一首の歌枕である。
天つ風 雲のかよひぢ 吹きとぢよ 乙女の姿 しばしとどめむ | 良岑宗貞( 百人一首) |
天武天皇が吉野で琴を弾いていると天女が下ってきて舞を舞ったという
「五節の舞」の伝承があり、この歌はその話をベースにしている。