すさまじきもの 〜歌枕探訪〜


気比(けひ)(福井県敦賀市))





気比は、古事記や日本書紀にも登場する地名であり、実に由緒が深そうだ。

それに、「けひ」という響きにはなんだか神々しさまで感じてしまう。

気比神社は、仲哀天皇や神功皇后、応神天皇との関連が深く、

気比の松原は、日本三大松原として有名で、

そして松尾芭蕉は、奥の細道で敦賀は月の名所であるとして、夜の気比神社で月見をしている

そんな気比の地は、さぞかし著名な歌枕の地なのだろうと勝手に思っていたが、調べてみると、気比を詠んだ歌はほとんどなかった。






とりあえず、関連の歌を紹介します



【気比の松原】



白鷺松晴嵐(しらさぎのまつせいらん)
吹なびく はた手にまがふ浮雲も はれて行衛や しらさぎの松 雁返舎(敦賀八景)
気比の松原は白鷺松と呼ばれていた




気比秋月」
盃を手にうけもちの月見酒 のあひよりさすも又よし 雁返舎(敦賀八景)
夜のビーチで月見酒らしい




よし菫つみにこずとも此けしき なつかしみねむ ひと夜松原 京 繁雅

え〜と鎌倉時代に蒙古が敦賀に襲来したときに、一夜にして松林が現れ、多数の白鷺が松の頂きに留まり、それを軍勢の旗と見た蒙古は逃げていったという伝承に基づく




松原の 続くかぎりの 秋の晴 高浜虚子


気比の松原に歌碑







六十余州名所図会「越前 敦賀 気比松原」
Wikipedia




気比の松原とビーチ



気比の松原から海を眺める
ここは敦賀湾の一番湾奥



気比の松原の中を通る道路



松原の中



















【気比神社】



山を斬る剣を峰に残しおきて神さびにける気比の古宮 行遍
鎌倉時代の僧





大鳥居(国の重要文化財)



外拝殿



松尾芭蕉像



松尾芭蕉が敦賀の月を詠んだ句のうちの、5句の句碑があった

国々の八景さらに気比の月 松尾芭蕉(芭蕉翁月一夜十五句)
月清し遊行の持てる砂の上
古き名の角鹿や恋し秋の月
月いづく鐘は沈める海の底
名月や北国日和定めなき






大鳥居から道路を挟んだ向かい側に遊行上人像



昔は大鳥居の外は湿地帯であったが、遊行上人が砂を運んできて敷き固めたので、海岸まで参道が伸びたという故事に基づくもの。



その故事を宿主から聞いた芭蕉が詠んだ句


月清し遊行の持てる砂の上 松尾芭蕉(奥の細道)


境内の松尾芭蕉像の台座に句碑




涙しくや遊行の持てる砂の露 松尾芭蕉


境内に句碑


奥の細道では上の「月清し遊行の持てる砂の上」で載録されているが、当初の案は「涙しくや遊行の持てる砂の露」であった











表示の対象が三ヶ所あったので、初めてこの地図を作成しました。
他の人はもっと上手く作っているけど、どうしたらよいのかな









石川県の「気多大社」と間違えます








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