すさまじきもの 〜歌枕探訪〜


木之子(岡山県井原市)






正安大嘗会 ききのむら
秋毎に染る紅葉の木々の村 時雨けるとは今ぞ知らるゝ 藤原隆教(夫木和歌抄)
木々村は現在の井原市木之子


正安なので、1301年の後二条天皇の大嘗会の歌。

この歌のどこが大嘗会和歌に相応しいのかよく分らない。

村の名前も吉祥がある訳でないし、紅葉も時雨もさして目出度いことはない。

なにかもっと深い理由があるのだろう。









さて、木之子には次のような伝説がある

「今から1500年程前、木之子の岩ヶ市の鳴尾の渕に大蛇に似た蛟がおり、人々を苦しめていた。この地方を守護していた鴨別命が人々を守る為に退治した。鴨別命は縣守として神社に祀られ、又、退治された蛟も竜神様として祀られ、秋祭の御神幸で鳴尾の渕の近くで鎮魂の祈りをしています」
(県主神社の案内板より)




蛟(みずち)は四本足の蛇で、川の淵に潜んで人々を襲った
鴨別命は古代吉備一族の英雄
この話は同様の内容で日本書紀に載っている
(リンク)


また万葉集にもこの伝説を踏まえた歌が収録されている


虎に乗り 古屋(ふるや)を越えて 青淵に 蛟龍(みずち)とり()剣大刀(つるぎたち)もが 境部王(万葉集)


縣主神社に歌碑










【現地訪問】




縣主神社・・・岡山県井原市木之子町3909


参道の石段を上から撮影
普通はすごい石段を上るのだが、私は車で上った。



石段を上ったところにある縣主神社。鴨別命を祀る。



一方、隣の八幡神社は蛟を祀る。



社殿の中には恐ろしげな置物があった。



龍のような動物の木像



蛇なのか分らないが気持ち悪い



これは竜が雲を駈け上がる絵で、一般的な題材でホッとした










縣主神社は御朱印が有名らしい





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