すさまじきもの 〜歌枕★探訪〜 |
岸の黄土(大阪市住吉区)
「よみがえった古代の色―万葉・風土記の黄と赤」
金子 晋
1990/7
著者が発見した住吉の黄土は万葉の「はにふ」か? 鉱物染料はいかに万葉と風土記の色を再現したか? 万葉に歌われた「住吉の岸の黄土」とは?幻の鉱物性染料といわれた色土をどうして6種類も採取したか? 3首の万葉歌と、一行の風土記の文章から、その再現に挑戦し、ついに化学染料でも植物染料でも出せなかった色を「土染め」で再現し、古代鉱物染色を立証するまでの、執念の奮戦記。 (「BOOK」データベースより) |
この本の著者の金子晋氏が発見した「岸の黄土(埴生)」については、いろんなホームページで訪問レポートが掲載されていて、以前から気になっていた。 私は万葉時代の染料に興味はないのだが、毎日の通勤路線の途中にあることから、ある日、途中下車して寄ってみた。 ![]() この細い道の右手の土手が「岸の黄土」とのこと。 ![]() 下から見上げる。 だいたいどのホームページの訪問記でも、写真はこの二つの角度から撮られたものが掲載されている。 土手は黄色になっているが、これは草が枯れて倒れているもの。 もちろん史跡を示す案内板もない、知る人ぞ知る万葉故地であった。 (大阪市阿倍野区帝塚山1丁目17) この「岸の黄土」を詠んだ万葉歌がある。 |
草枕旅行く君と知らませば岸の埴生(はにふ)ににほはさましを | 清江娘子(万葉集) | |
馬の歩み抑へ留めよ住吉の岸の埴生ににほひて行かむ | 阿倍豊継(万葉集) | |
白波の千重に来寄する住吉の岸の埴生ににほひて行かな | 車持千年(万葉集) | |
馬並(な)めて今日わが見つる住吉の岸の黄土を万代に見む | 作者未詳(万葉集) | |
めづらしき人を我家(わぎへ)に住吉の岸の黄土を見むよしもがも | 作者未詳(万葉集) |