すさまじきもの 〜歌枕探訪〜


古河(こが)の渡し(茨城県古河市)







古河の渡しを詠んだ万葉歌


会はずして行かば惜しけまくらがの 古河こぐ船に君も会はぬかも 万葉集
あわないで行くのは残念であろう。まくらがの古河をこぐ船ででも、
君に会いたいものである(訳:加須市HP)
 

まくらがの古河の渡りのから梶の 音高しもな寝なへ子ゆゑに 万葉集
 未だ何びとのかかわりもない女性なのに、
ウワサばかりが高くなってこまる(訳:加須市HP)
 


鷲神社に上掲二首併刻の歌碑
(埼玉県加須市向古河486-1)



白たへの衣の袖をまくらがよ 海人こぎく見ゆ波立つなゆめ 万葉集
白妙の衣の袖をまくらにするという、そのマクラガから、
海人のこいで来るのが見える。波よ立つなよ(訳:加須市HP)
 





加須市のホームページの開設を一部転記させていただく

「万葉集」は8世紀末の和歌集ですが、その巻14に「まくらがの古河」のうたが三首収載されています。

これらのうたの中で、古河は許我と書かれており、二首はその上に麻久良我乃としてあります。許我は「滸找」であって、「水辺に船をすすめる」という意味であり、まくらがのは「どの国にも属していない地域」を指しています。(郷土史家の鎗水柏翠氏による)

古代には今の東京湾が谷中まで入ってきていて、そこに思川・巴波川・渡良瀬川等の川が流れ込み、武蔵国から下総国や、下野国に渡るのには船によるほかはなかったのです。

そういう古代の地理的条件や国々の配置をみることによって、この歌の意味を正しくつかむことができます。


加須市のホームページ/万葉遺跡



感想として、埼玉県に加須市という自治体があることを初めて知った。
「カス市」ではなく、正解は「カゾ市」らしい。










三国橋、渡良瀬川に架かる橋で、茨城県古河市と埼玉県加須市を結んでいる

思川が合流するこの地点は、古くから渡良瀬川の渡河点であり、「古河の渡し」と呼ばれた

なお、三国橋の名称は、下総国・上野国・武蔵国を連絡していたことによる









古河市も「フルカワ市」だと思っていました





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