すさまじきもの 〜歌枕探訪〜


小督塚(京都市右京区)







● こういったエピソード系の史跡巡りが大好きです。


えっと、小督とは、と平家物語を読み直してみたが、なんか話がややこしくて、まとめられないと思っていたところ、写真の「謡曲『小督』の旧跡」の説明の文章が上手くまとめられているので転記する。



謡曲「小督」の旧跡
小督局は、桜町中納言藤原成範の女(むすめ)で、宮中で美人の誉れ高く、高倉天皇(第80代、在位1168〜80)の寵愛を一身に集めていた。しかし、平清盛の女、徳子(建礼門院)が中宮であったため、平家の圧迫をおそれて、この地、嵯峨野に身を隠した。その時の仮住居が、この「小督塚」辺りであったといわれている。
謡曲「小督」は、天皇の命により、小督局を探しに当地を訪れた弾正大弼源仲国が秋霧の間に微かに聴える琴の調べを便りに遂に局の居所を探し得たという物語である。
今でも、渡月橋の北詰にある石橋は、琴聴橋とも、駒留橋とも呼ばれ、仲国が想夫恋の曲を聴いたところと伝えられている。
                    京都謡曲史跡保存会
 




小督局は最初に右少将藤原隆房という恋人がいて、そのあとに高倉帝の想い人になったのだが、この右少将藤原隆房は平清盛の娘婿で、また高倉帝も清盛の娘の徳子が中宮となっており、いわば小督は清盛にとっては娘婿ふたりをたぶらかしている悪い女になる。このため清盛は激怒した。
危険を察した小督は自ら宮中を去っていったという。




そんな小督ゆかりの地、嵯峨野の地に行ってきた。




ピンクの建物の手前の石橋。これが「琴聴橋」。
仲国が琴の音を聴いたところらしい。



琴聴橋の接写!
後ろの建物は車折神社の頓宮(仮の宮)であり、本社は別のところにある。小督とは関係がないようだ。









平家物語の場面(巻六 小督の事)
 亀山の辺り近く、松の一むらある方にかすかに琴ぞきこえける。峰の嵐か、松風か、たずねる人の琴の音か、おぼつかなくはおもへど、駒をはやめさせ行く程に、片折戸したる内に、琴をぞひきすまされたる。




大堰川のほとりに「小督塚」があった。









こんなかんじの場所。



となりの建物。
看板には「京料理 小督庵」(左)、「嵐山 想夫恋」とあって、まさに小督づくし、ここに極まっていた。


「想夫恋」とは、仲国が訪ねたときに、小督が弾いていた曲目。
 楽はなんぞと聴きければ、夫をおもふてこふとよむ想夫恋といふ楽なり。(平家物語 巻六 小督の事
とある。


また謡曲「小督」では、
峯の嵐か松風か、尋ぬる人の琴の音か、楽は何ぞと聞きたれば、夫を思いて恋ふる名の想夫恋なるぞ嬉しき



     とっても














そのすぐ近くに「小督庵」の石碑があった。


なんやろか?



ちょうど嵐山名物の人力車が通ったので、「小督庵」石碑とのコラボショット。










このエピソードは平家物語の中で、清盛の横暴さを強調するために、付け加えられたものとも言われている。

こんな歌が残っている。


一筋に雲ゐを恋ふる琴の音に ひかれて来にけん望月の駒 出所不明




 渡月橋のそばに「琴きき橋跡」の石碑があり、よこ面に上記の歌が記されている。













満足度の高い訪問でした。
大堰川沿いに「琴きき茶屋」という店がありました。
次回寄ってみようと思います。









 【悲報】

上記で、小督尽くし極まると紹介した「京料理 小督庵」の建物が、2016年10月に訪問すると、おしゃれなカフェに改装されていた。

店名は「ARABICA Kyoto Arashiyama」で、カフェラテが美味しいらしい。











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