すさまじきもの 〜歌枕探訪〜


木幡(京都府宇治市)




「木幡(こはた)」は、京都府宇治市木幡町を中心に、周辺の山科や巨椋池までを含む地域のこと。

「木幡」関連の名所は、都名所図会によると「木幡の里」、「木幡山」、「木幡の関」、「木幡金辻」、「木幡神社」がある。

「木幡の里」は、『六地蔵の南なり』とあり、現在のJR・近鉄の木幡駅付近のことだろう。

「木幡山」は、『六地蔵の北なり』で、伏見桃山城がある山のことのようだ。(ここは京都市伏見区ななる)

「木幡の関」は、『六地蔵の北、城山のひがしに旧跡あり。いま関山といふ』で、現在はどうなっているのだろう。(ここも京都市伏見区)

「木幡金辻」は、『六地蔵町より宇治に至る札の辻なり』とあって、どんなところなのだろう。

「木幡神社」は、『木幡の里路の北にあり』とあり、今の「許波多神社」。古来、境内で馬競べの神事があり、日本の競馬発祥の地とされている。



長々と書いてみたが、それほど魅力的な旧蹟でもなさそうだ。





2016年の夏に「ブラタモリ」の番組で伏見桃山城が採り上げられていたので、一度見てみようと思いたち、夏休みに行ってみた。




ところが、夕方遅くに行ったので駐車場の営業時間が終了間際であったため、結局行けなかった。





ブラタモリによると、球技場は昔の空堀を利用しているらしい。






「木幡」を詠んだ歌。


山科の木幡の山を馬はあれど徒歩より我が来し汝(な)を思ひかねて 万葉集
馬があるのだけれども山科の木幡の山に徒歩で私はやってきた、
お前を思うことに耐えきれなくて(歌枕歌ことば辞典) 


この万葉歌が嚆矢となって、木幡は「徒歩」や「駒」を伴った旅関係の歌を詠まれる場所となった。大和街道が木幡を通っていたことも、旅に結び付けやすかったのだろう。


山科の木幡の里はあれど徒歩よりぞ来る君を思へば 人麿(拾遺集)
山城の木幡の森はあれど思ふがためは歩みてぞ来る 人麿(古今六帖)


わがをしばしとかるか山城の木幡の里にありと答えよ 源俊頼(千載集)


かち人の問はぬ夜寒に待ち侘びて木幡の里に衣うつなり 藤原為家(新続古今集)


かち人の道をぞ思ふ山科の木幡の峰の秋の夕暮れ 秋篠月清集


木幡山君がゆききは馴れにしをかちよりおくるぞ悲しき 高階宗成



・・・ こんなふうなラインナップである。












現在の旅なら電車か自動車で迷うのだろう。





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