すさまじきもの 〜歌枕探訪〜


心見の渡り(滋賀県大津市)







滋賀県大津市の黒津、ここで琵琶湖から流れ出た瀬田川と、信楽町に源を発する大戸川が合流する。


往古、大戸川の上流は豊かな森林地帯が広がっていたが、都であった京都や奈良に近いため、多くの木が伐採されて、はげ山になってしまった。


この辺りの地殻は花崗岩の分布地域で、風化による土砂の流出が激しく、大雨による氾濫が繰り返し発生し、次第に大戸川の川底は埋まっていった。


流出した土砂は瀬田川との合流地点で中州を形成し、瀬田川の流水を妨げ、琵琶湖の水位を上げる原因にもなったようだ。



そんな黒津にあった瀬田川の渡し場は「心見(こころみ)の渡し」として歌枕になっている。



明けぬとやこころみまでは来にけれど まだ深き夜の渡りなりけり 藤原清正



近江なるこころみの崎年経ても よし試みよ人忘るやと 夫木和歌抄




「田上にて舟にて遊ぶに、神山の渡にて読る」
(くもり)なき夕月夜をも見つるかな こや神山の(しるし)成覧(なるらん) 源俊頼(散木奇歌集)


「神山の渡」は黒津の船着場のことらしい










【現地訪問】



瀬田川と大戸川の合流地点
左が瀬田川、右が大戸川
たしかに土砂が溜まっている



昔は堆積した中州は「黒津八島」と呼ばれ、琵琶湖では唯一徒歩で渡ることが出来る地点であったらしい




合流地点から下流を望む















2月に訪問しました
無茶苦茶寒かったです





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