すさまじきもの 〜歌枕探訪〜


小諸城跡(長野県小諸市)





小諸なる古城のほとり」

小諸なる古城のほとり
雲白く遊子(いうし)悲しむ
緑なすはこべは萌えず
若草も()くによしなし
しろがねの(ふすま)岡辺(おかべ) 
日に溶けて淡雪流る

あたゝかき光はあれど
野に満つる(かおり)も知らず
浅くのみ春は霞みて
麦の色わづかに青し
旅人の群はいくつか
畠中の道を急ぎぬ

暮行けば浅間も見えず
歌哀し佐久の草笛(歌哀し)
千曲川いざよふ波の 
岸近き宿にのぼりつ
(にご)り酒濁れる飲みて
草枕しばし慰む
島崎藤村
(千曲川旅情の歌)


小諸城跡、懐古園に詩碑





小諸と言えば島崎藤村、「小諸なる古城のほとり」だろう。

あんまり城跡とか興味がないし、現代詩もよく知らないのだが、この小諸城跡の詩は有名でよく知っている。

小諸城跡にはぜひ行ってみたいと思っていた。












【現地訪問】




小諸城は、浅間山麓の裾野が千曲川に接する地点に建城された。田切地形と千曲川の断崖を天然の要害としており、これはこれで地形的な興味を持った。



現地の案内板。濃い緑が断崖地形。南北が逆であるが、左の駅の方から田切地形が右手に伸びて千曲川の断崖に続く。先端部分に城がある。

う〜ん、この地図ではよく説明できない。



国土地理院の地図

南北が逆になるが、右手に駅、左に千曲川。小諸城が中央にある。断崖に囲まれた地形が確認できる。











訪問日当日、上田のビジネスホテルを朝7時に出発し、小諸城跡に着いたのが8時前。
私以外、誰も観光客はいなかった。



ふと見ると、石垣の中に和歌が彫られているような
(石段の左)



大胆というか、まさか昔からの本物の石垣なのかな。
結構大きな石であった。


かたはらに秋草の花かたるらく ほろびしものはなつかしきかな 若山牧水




ずっと進んでいく



懐古神社があった



天守台から浅間山方面。
山頂は雲に隠れていた。
山麓の裾野がここまで続いていることがよく分かる。



島崎藤村の銅像
「藤村記念館」があった



展望台に続く橋



展望台から千曲川を望む

小諸城跡と言えばここからの写真が有名で、訪問を楽しみにしていたが、実際に行ってみると、思っていたのとちょっと違っていて、なんとなく残念な気がした。

遠くに見える千曲川は、それほど旅情をかき立てることもなかった。




パノラマモードで撮影。左手にダムがあるのだが、木が繁茂しすぎて見えない。冬がいいのかな。



アニメはからっきし知らないのだが、小諸市を舞台にしたアニメ「あの夏で待ってる」があったあらしい。小諸市はこのアニメの聖地になっているとか。聖地巡りのマニアが集っているようだ。


















実際のところ歌枕巡りもアニメの聖地巡りも、現地に行って
みたいという気持ちで通じるものがあると思います。







copyright(C)2012 すさまじきもの〜「歌枕」ゆかりの地☆探訪〜 all rights reserved.