すさまじきもの ~歌枕探訪~


木の下(このした)(仙台市若林区)




みさぶらひ御笠と申せ宮城野木の下露は雨にまされり 古今和歌集
お供の人々よ、ご主人に「お笠をお召しくださいませ」と申し上げよ、
ここ宮城野の木の下に落ちる露は雨より強烈なので。 



古今和歌集のこの歌が「木の下」の地名の由来らしい。
松尾芭蕉も仙台市内を案内してもらった大淀三千風からそのように説明を受けたようで、奥の細道に次のように記している。

日影ももらぬ松の林に入て、爰を木の下と云とぞ。昔もかく露ふかければこそ、「みさぶらいみかさ」とはよみたれ。


とにかく、現在の仙台市若林区あたりには、日の光も漏れることがない松林が広がっていて、そこは歌枕「木の下」であるとされていた。


場所的には、陸奥国分寺の周辺とのこと。
現在の地名も若林区木ノ下である。


もともと一般名詞的に「木の下」を用いたところ、後生の仙台藩関係者によって無理やり場所を比定されて地名となってしまった、ように思える。









とりあえず行ってみた。


■陸奥国分寺 ・・・ 宮城県仙台市若林区木ノ下2-8-28


陸奥国分寺薬師堂。国の重要文化財。
朝早く訪問したところ、その日はお祭りの日なのか、設営準備がなされていた。




良く分からない写真だが、境内から入口の方を写す。




仁王門。宮城県重要文化財。




とにかく奈良時代の創建以来、興廃を繰り返し、現在では薬師堂ぐらいしか残っていないが、往時は伽藍配置の壮大な寺院だったようだ。
この写真にも塔の礎石が写っているが、このような礎石が広範囲に残っていた。




これも礎石を写したのだが、よくわからない写真になってしまった。






この周辺は住宅地になっており、もはや「日影ももらぬ松林」はなくなっていた。




芭蕉の句碑があった。


あやめ草 足に結ばん 草鞋の緒 芭蕉


観音堂の前に句碑



句解はむつかしい。「いささか心ある者」から草鞋をもらったことで風流を感じている内容らしい。













歌枕王国、仙台藩における松尾芭蕉の貢献は大きかったと思います。







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