すさまじきもの 〜歌枕探訪〜


子落(こおとし)(島根県浜田市)







また「和泉式部ゆかりの地」。



現地の由緒碑を転記する。
和泉式部と子落の由来
平安時代の女流歌人、和泉式部は身重の体で九州肥前に住む父、藤原資高を訪ねる為、山陰路を下って来ましたが、途中で子供が産まれ、頼る人もなく思い余ってその子を橋の袂へすてて行きました。それが子落の地名となったと伝えられています。捨てた子供の事が気になり再び立ち寄って探し、育ててくれていた人に事情を話して引き取り、京に帰る事が出来ました。その子が小式部です。

摂取(とりたて)て捨てぬ(ちかい)はありと聞けど吾子をみすみの今日ぞうれしき

和泉式部がその時のよろこびを歌で残したものです。

大江山いく野の道は遠けれどまだふみも見ず天の橋立

小式部が十二才の時の歌だと伝えられています。



土井晩鐘の歌碑の台座部分



この内容が真実ならば、和泉式部の子供の小式部内侍は壮絶な出生の体験の持ち主となる。






この和泉式部の伝承を聞いて、土井晩翠が詠んだ歌


かぐわしき名をばとどめて子落や生いたちましし歌姫の跡 土井晩翠


子落橋の西詰に歌碑








■ 現地訪問


子落橋 ・・・ 経緯度は、34.789339, 131.962961、国道9号線沿い


これが子落橋
ここから和泉式部は娘の小式部内侍を捨てたという現場



欄干



国道から子落橋を眺める、右手の桜は佐々木桜。樹齢350年のエドヒガンザクラで、浜田市の重要文化財に指定されている



佐々木桜、浜田市で春の一番最初に咲く桜らしく、春を告げる桜とのこと



すぐ近くにある三角(みすみ)神社
ここの地名は浜田市三隅(みすみ)
和泉式部の歌にも「みすみ」の地名が詠み込まれている














ストーリー性のある由緒は大好きです






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