すさまじきもの 〜歌枕探訪〜


衣ヶ崎(長野県諏訪市)





諏訪湖から富士山が見えるらしい。
八ヶ岳と甲斐駒ヶ岳の間の谷間部分が甲州街道に沿って甲府盆地までほぼ一直線に続いているため。
日本列島を分断する糸魚川静岡構造線が通っている。


古来、諏訪湖の富士見ポイントは衣ヶ崎とされてきた。衣ヶ崎の橋から富士山が水面に富士山の影が映るらしい。
貝原益軒の「岐蘇路(きそじ)の記」では、
『まえに橋有。橋の下は川なり。舟の出入り自由也。橋よりしものかたを衣が崎と言う名所也。此の所に富士山の影うつると言。』
と記され、衣ヶ崎を名所として認定している。















■とりあえず現地へ行ってみた。



上諏訪の温泉街から湖岸道路を南に行くと、諏訪湖に注ぐ川を渡る橋がある。とても一般的な橋なのだが、これが現在の衣ヶ崎橋。



普通のコンクリート桁橋。




川の名前は衣之渡川。
写真では向う岸に柵や木々が邪魔をして見通せないが、昔はこの橋の上から遠く富士山が見えて、水面にも富士山の影が映っていて、正に風流の勝地だったのだろう。




山の稜線が凹んでいるところに富士山があるはず。
この日は雲がかかって見えなかった。




衣之渡川は諏訪湖へ注ぐ。










衣ヶ崎を詠んだ歌



信濃なる衣か崎に来て見れば 富士の上漕海士の釣船 空海
富士の上で舟を漕ぐとし、水面に映る富士を見立てている。



すはの海衣がみさきながめつつけふ日ぐらしになりくらすのみ 夫木和歌集



富士うつる衣か崎は夏きてもうらめつらしき波の志ら雪 小岩高右衛門(諏方かのこ)









木曽路名所図絵「上諏訪 富士山遠景」 (早稲田大学図書館)



















この地図の作成に半日かかりました






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