すさまじきもの 〜歌枕探訪〜


事任八幡宮(静岡県掛川市)




事任八幡宮は、東海道の旅の道中で、はずすことのできない名所である。
「ことのまま」の名前が「願い事が意のままに叶う」という意味を持つため、昔から多くの人々が旅の安全や願い事の成就のために信仰してきた。
古くは清少納言の枕草子に、


布留(ふる)の社。龍田の社。花ふちの社。みくりの社。杉の御社、しるしあらんとをかし、ことのままの明神、いとたのもし。さのみ聞きけんと ・・・
(225段)


とあって、平安時代に、京の都にまで事任八幡宮の神通力が伝わっていたようだ。

この事任八幡宮に早朝から行ってみた。



この日の最初の訪問地で、朝の7時半に着いてしまった。
びっくりしたのは、村の鎮守社程度と思って来たものの、境内に入ると立派な社務所があり、巫女さん数人が朝から仕事の準備をしていて、それなりの社格があったこと。
家に帰って資料を整理していたら、それも当然のことであって、ここは遠江国の一宮であった。


境内には大楠があった。


拝殿。その右手に神木の大杉があるのだが、写真を写していない。
この奥に本殿。その裏山が禁足地となっている。











ゆかりの歌、一挙公開
またも来ん わがねぎことのままならば、しばし散らすな木々のもみじ葉 鴨長明
ゆうだすき かけてぞ頼む今思ふ ことのままなる神のしるしを 東関紀行
大井川けふのわた瀬をさして思ふことのままにと祈る神垣 冷泉為久
思ふことのままにかなへば杉立てる 神の誓ひのしるしとぞ見ん 海道記







そして十六夜日記の記述
二十四日ひるになりて、佐野の中山越ゆ。ことのままとかいふ社のほど 紅葉いと盛りにおもしろし、山蔭にて嵐もおよばぬなんめり、ふかく入るままに をちこちの峯つづきこと山に似ず、心ほそくあはれなり。 阿仏尼







事任八幡宮の外の風景。
向こうに国道一号線バイパスと道の駅がある。













道の駅にはいろいろ魅力的な食べ物がありました。





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