すさまじきもの 〜歌枕探訪〜


興福寺(奈良市)




いにしえの 奈良の都の 八重桜 けふ九重に にほひぬるかな 伊勢大輔(百人一首)
古き都の奈良の八重桜が、今日は平安の都で美しく咲き誇ってます


 奈良の都の八重桜」って興福寺に咲いていた桜らしい。
奈良の桜は京都の桜に比べ、開花の時期が遅く、とりわけ興福寺の桜は他の桜が全て散ってから咲く遅咲き桜だったため、毎年興福寺から宮中に献上されていたという。

この歌は、宮中に届いた桜を見た藤原道長が、そばにいた伊勢大輔に対し、この桜を題材にして歌を詠めと命じ、伊勢が即座に返したもの。

<詞書>は
一条院の御時、奈良の八重桜を、人の奉りて侍りけるを、そのおり、御前に侍りければ、その花をたまひて、「歌詠め」と仰せ言ありければ、よめる






その奈良の八重桜が奈良県庁の隣の敷地にあった。

10月の訪問だったので、もちろん葉桜。



歌碑というか、歌の説明書き



「八重桜古蹟」とある。






現在では「奈良の八重桜」は「ナラノヤエザクラ」
という八重桜の一品種となっており、
いわゆる奈良に咲いている桜の総称ではない
奈良市の市章、市花になっている。



「ナラノヤエザクラ」
奈良市のホームページより


奈良市の市章






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さて、興福寺自体は、有名で、誰もが知っている興福寺そのもので、
特にコメントはありません。


東金堂


五重塔
外国人が感動してました。



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奈良七重七堂伽藍八重桜 芭蕉

(ならななへしちどうがらんやへざくら)


秋風や囲いもなしに興福寺 正岡子規







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興福寺の南円堂は西国三十三所第九番の札所

猿沢池ごしに見える南円堂


春の日は南円堂にかがやきて三笠の山に晴るるうす雲 ご詠歌









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