すさまじきもの 〜歌枕探訪〜


昆陽(こや)(兵庫県伊丹市)






昆陽(こや)は摂津国の歌枕。
行基が造った昆陽池や昆陽寺を中心とした一帯のこと。
ただし、歌枕の「猪名野」とほぼ地域が重なるためややこしい。どう違うのか誰か教えてほしい。


地元の伊丹市は文化水準が高いのかどうか分らないが、歌碑の整備を行っており、その数は市内で60基を超える。


昆陽を詠んだ歌は、昆陽池の情景を詠んだ歌が多いが、「()や」や「()や」を掛けたものもある。


昆陽関連の歌を紹介する。




ところえて 千代もすまなむ たずねても こやてふ池の 岸のまつかげ 村上潔夫
昆陽池公園内北部樹林帯に歌碑



ゑにかきて 今唐土の 人に見せむ 霞わたれる 昆陽の松原 滋円(拾玉集)
昆陽池公園内北部樹林帯



遠つあふみ 入江の月の おもかけも 思ひそ出る 昆陽の大 夏目甕麿


昆陽池公園内西入口近くに歌碑



冴る夜は よその空にぞ 鴛鴦も鳴く 凍りにけりな 昆陽の池 西行法師


昆陽池公園内昆陽池センター北に歌碑




津の国の こやの芦手ぞ しどろなる 難波さしたる あまの住ひぞ 鴨長明
昆陽1丁目稲野小学校東



芦のやの こやのわたりに 日は暮れぬ いづち行くらむ 駒にまかせて 能因法師(後拾遺和歌集)
昆陽1丁目稲野小学校正門前に歌碑



たちかへり みちあるみよに あはむとや をなしこやのの まつむしのこゑ 藤原家隆(壬二集)
昆陽池1丁目市民病院入口に歌碑



つのくにの あしの葉しのき ふる雪に こやのしのやも うずもれにけり 大江匡房(江師集)
昆陽北1丁目西天神社境内に歌碑



津の国の こやとも人を いふへきに ひまこそなけれ 芦の八重葺 和泉式部(後拾遺和歌集)


瑞ヶ丘5丁目瑞ヶ池公園内南東側に歌碑



有間山 裾野之原爾 風吹者 玉藻波依 昆陽能池 藤原忠通
瑞穂町6丁目(住友総合グラウンド前)に歌碑



新雨初晴池水満 
恩波風緩楽豊年 
遠松迎我如親故 
群鳥驚人争後先 
暁涙伴来江館月 
春望相似洞庭天 
廻頭遥顧青巌路 
漸隔帝都山復川 
藤原定家(名月記)
昆陽池3丁目昆陽池公園内東に歌碑



志ら露を たまにぬきとめ をとめこか かさしにまかふ あきの萩ハら 中村良臣
昆陽池公園内北部樹林帯に歌碑



こやの池に 生ふる菖蒲の ながき根は ひく白糸の 心地こそすれ 待賢門院堀河(詞花和歌集)
昆陽池3丁目昆陽池公園内東に歌碑



命あれば こやの軒端の 月も見つ 又いかならん ゆく末の空 後醍醐天皇
寺本2丁目昆陽寺に歌碑






昆陽池周辺に歌碑が設置されているが、時間が無かったため目に付いたものだけ写真を撮った。いつか歌枕「猪名野」とともに市内の歌碑を巡りたいものだ。









【昆陽池】











昆陽池公園として市民の憩いの場になっている










摂津名所図会 「昆陽寺門前 行基井 昆陽池」

早稲田大学図書館

左上に昆陽池が見える















先日、有馬街道を、神崎から有馬温泉まで歩きました。
昆陽や猪名野を歩きましたが、遠くに六甲山が見えたりして
趣のある風景でした。






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