すさまじきもの 〜歌枕探訪〜


高野の玉川(和歌山県高野町)









<玉川まとめ>

名称 キーワード 訪問
山城 井手の玉川 山吹 済み
近江 野路の玉川 済み
摂津 三島の玉川  卯の花  済み
武蔵 調布の玉川 晒布  
陸奥 野田の玉川  千鳥 済み
紀伊 高野の玉川 旅人または氷 済み
(2023年7月)


昔から、全国には歌枕として有名な「玉川」が六ヶ所あり、合わせて「六玉川」というが、この和歌山県にある高野玉川もその一つ。

今回の高野玉川への訪問で、六玉川のうち五つを制覇。

とは言うものの、訪問前からいささか違和感を感じるものがあった。

高野の玉川を詠んだ歌を探してみたものの、弘法大師の詠んだ有名な後掲の歌以外に見つけることができなかった。

西行が詠んでないかと山家集を見てみたのだが、高野山を詠んだ歌は数多あるものの、高野玉川を詠んだ歌はなかった。

あと、弘法大師の詠んだ歌が意味不明で、何のために詠んだのかよく分らない。

これが六玉川の一つ、高野玉川を代表する、唯一の?歌なのか。



(詞書)
「高野の奥の院へ参る道に玉川と云ふ河の水上に
毒虫の多かりければ此の流を飲むまじき由を示し
置きて後よみ侍りける」

忘れても汲みやしつらむ旅人の高野の奥の玉川の水 弘法大師(風雅和歌集)


え〜と意味は、
高野玉川の上流には毒虫が多いので『この水を飲んではいけない』という立札を立てた後に詠んだ歌という詞書があり、『旅人がこの玉川には毒があるということを、忘れて汲んで飲んだりしてしまうのではないか』、と旅人の体調を心配する歌。

いやはや何の風情もない歌である。

六玉川でなく、五玉川でもよかったと思う。










【現地訪問】

玉川は、高野山奥之院、大師廟の傍らを流れている
この下の写真の向こうに小さく見えるのが「御廟橋」で、そこから奥之院にかけて写真撮影が禁止されている




水行場の場所






この川の流れは、最後に有田川から紀伊水道に注がれる











川の毒虫って何のことだろうか?





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