すさまじきもの 〜歌枕探訪〜


久住山(大分県竹田市)





幼稚園の頃だったか、家族で九州旅行に行き長崎から別府まで鉄道とバスで横断した。その中で、阿蘇から別府へ向かう「やまなみハイウェー」のバスの車窓から見える壮観な眺めと、車内でかかっていた歌、『夢のやまなみハイウェイ』の軽快なリズムが強烈すぎて、他の有名な観光地を圧倒し、「やまなみハイウェー」が九州旅行第一の思い出となったものである。

ソノシートのレコードのお土産がついていて、家に帰った後も何回も聞き直したのだが、そのうち次第にシートが曲がってきて、レコードの音が出なくなり、残念な思いをした。

ところが最近は便利になったものである。ユーチューブでソノシートのレコードを音源とする音楽が再生されていた。

上にユーチューブのコードをはめ込んだが、きちんと見えるのかどうか分からない。URLも載せておこう。
https://www.youtube.com/watch?v=VlXN_sZKilk




『夢のやまなみハイウェイ』
(一) 光る太陽 明るい行く手
別府を後にのびる道
飛ばす車のリズムも軽く
歌も弾むよ花野を越えて
嗚呼 はるかな やまなみハイウェイー
梶 光夫
(九州国際観光バス)
(二) そよぐ若草 かげろう燃えて
みどりの牧場 テント村
鳥が歌えばこだまもかえる
山の屏風か 九重(くじゅう)の尾根よ
嗚呼 明るい やまなみハイウェー
(三) 緩いカーブが左に右に
外輪めぐる白い道 
阿蘇は火の山 轟く胸に
若い我らの血汐もたぎる
嗚呼 パノラマ やまなみハイウェー
(四) 宇土の櫓(やぐら)をはるかに仰ぐ
有明海の青い海 越えりゃ島原
クルス(十字架)の夢が
今日も灯ともす 長崎みなと
嗚呼 輝くやまなみハイウェー 




やまなみハイウェーのクライマックスは久住連峰のフォトジェニックな眺望だろう。久住連峰の主峰は久住山。標高1791メートルの火山である。

やまなみハイウェーの長者原のレストハウスから久住山を眺める。
(右奥の山)

2009年、家族旅行でやまなみハイウェーを走破したときの写真











久住山は万葉集で詠まれている。
万葉集では朽網(くたみ)山 。


朽網(くたみ) 夕居る雲の 薄れゆかば 我れは恋ひなむ 君が目を欲り 万葉集


「久住山にかかる雲が夕方に薄くなっていくと、私は貴方に会いたくて恋しくなります」という意味であるが、まあ、必ずしも久住山でなければならない訳でもなさそうだし、要は、「夜になると貴方が恋しくなる」ということだろう。





近代の歌


大いなる師に近づくと似たるかな久住の山にひかるる心 与謝野寛
久住山阿蘇のさかひをする谷の(ほか)は襞さへ無き裾野かな 与謝野晶子



九州のあるが中にも高嶺なる久住の裾野うらがれにけり 与謝野晶子



草深野(くさふかの)ここにあふげば国の()久住はたかし雲をうみつつ 北原白秋







国土交通省 九州地方整備局のやまなみハイウェーの地図から一部追加記入






インターネットで「夢のやまなみハイウェー」を検索しましたが、
いろんな人が同じように懐かしがっていました。






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