すさまじきもの 〜歌枕探訪〜


(くくり) の宮(岐阜県可児市)






ももきね 美濃の国の 高北の 泳の宮日向(ひむか)ひに 行靡闕矣(ゆきなびけを) ありと聞きて 我が行く道の 奥十山(おおきそやま) 美濃の山 靡けと 人は踏めども かく寄れと 人は突けども 心なき山の 奥 十山美濃の山 万葉集


泳宮公園に歌碑






岐阜県可児市の久々利に、実にややこしい物語が伝わっている。

可児市のホームページ「泳宮」から転載する、

『日本書紀』の「景行天皇(第12代天皇)四年春二月甲子條」によると、景行天皇が美濃に行幸して滞在した際、八坂入彦命の娘で美人の弟姫(おとひめ)を見初め、池を造り、鯉を放って弟姫を呼び寄せた。

弟姫は、自分より美しく気立ての良い姉の
八坂入媛(やさかいりひめ)がふさわしいと、姉に后の座を譲った。八坂入媛を后にし、七男と六女を産み、第1が稚足彦天皇(わかたらしひこのすめらみこと)(第13代天皇)という。

この記述にある、池を造り弟姫と出会った場所が泳宮であるとされている。





え〜と景行天皇は、はじめは美人の妹(弟姫)を見初めて、池の鯉をネタに弟姫と恋に落ちた

景行天皇は弟姫に一緒に都に戻ろうと話をしたが、弟姫は自分の姉の八坂入姫のほうが美人だと推薦し、身を引いた。

姉の八坂入姫は景行天皇の后となり、次の天皇を含む、たくさんの子供を産み育てた、云々というもの。

妹の弟姫の気持ちはどうだったのか気になるところであるが、案外、地元でのんびりと人生を送ったのだろう。








■ 現地訪問





泳宮公園
こんな幟が立ててあった
 「古代宮廷の夢舞台」
 「聖地 泳宮」
 「景行天皇 八坂入姫」
 「泳鯉は、恋の、道しるべ」



公園内の様子



公園内にこんな建物があった
「泳」の文字があったので万葉集の関係かなと思ったが、地元の祭の山車の倉庫であった



この木は「泳宮のフウ」という古樹
有名らしい



泳宮の古蹟
歌碑があった



池があったが、色とりどりの鯉はいなかった








木曽路名所図絵には泳宮を詠んだ歌として次の二首が掲載されているが、どちらも鯉と恋を掛けたものとなっている


いとねたしくゝりの宮にすむ こひゆへ人にあさむかれつゝ 夫木和歌抄


頼めたゝくゝりにすむと聞く こひこそ道のしるへとはなれ 夫木和歌抄

上記の幟に記載されている「道しるべ」はこの歌から着想を得たのだろう












満足度の高い訪問でした





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