すさまじきもの 〜歌枕探訪〜


倉橋山(奈良県桜井市)





万葉故地である倉橋山は、現在の音羽山のことらしい。

音羽山は、談山神社がある多武峰の東北に位置する山という説明があった。

この辺り、山また山の山地なので、簡単には見つからないと思っていたが、現地に行ってみると、ことのほか簡単に見つけることができた。

やはり歌に詠まれるような山は立派な山容で、存在感が半端でない。

ただし、写真撮影の腕が悪いので、碌な写真が撮れなかった。
(実物はそれなりのモノがある)





桜井市立総合福祉センターから望む
右手に万葉歌碑がある




白壁の集落越しに見る






倉橋山を詠んだ歌



倉橋の山を高みか夜隠りに 出で来る月の光乏しき 万葉集
倉橋山が高いからか、夜遅くに出て来る月の光が弱々しいことだ
(桜井市観光情報サイトのHPより)
聖林寺という寺に歌碑があるらしい




梯立(はしたて)倉橋山に 立てる白雲 見まく欲り 我がするなへに 立てる白雲 万葉集
倉椅山に立っている白雲、見たいなと思っているとちょうど立つ白雲
(桜井市観光情報サイトのHPより)


桜井市立総合福祉センターの入り口の右手に歌碑




梯立の 倉橋山を 嶮しみと 岩かきかねて 吾が手とらすも 古事記
梯立の 倉橋山は 嶮しけど 妹とのぼれば 嶮しくもあらず 古事記


桜井市八井内の不動延命の滝の傍らに二首の歌碑




五月(さつきやみ)くらはし山時鳥(ほととぎす) おぼつかなくも鳴き渡るかな 藤原実方(拾遺和歌集)




「梯立」(はしたて)は倉の枕詞。
当時の倉は高床式で、梯子をかけて上ることから関連。
また、倉と「暗い」を掛詞して用いる例もある。





一方、音羽山と多武山の間の谷を流れている現在の寺川を往昔、倉橋川と呼んでいたようだ。
この倉橋川を詠んだ歌もある。


梯立の 倉橋川の 石の橋はも 壮年時(おざかり)に わが渡りてし 石の橋はも 万葉集
 梯立の倉橋)川の石の橋よ。男盛りに私の渡って通った石の橋よ。
 奈良県庁の「万葉の歌」のHPより


歌垣の歌らしい。




不動延命の滝付近の寺川




不動延命の滝














マイナーな歌枕でした







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